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仄見
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ほのみ
ふりがな文庫
“
仄見
(
ほのみ
)” の例文
故人の孫の柳生兵庫に対し胤舜が自ら奉じるところの槍をもって、一手の試合を望んでいるらしい気ぶりも
仄見
(
ほのみ
)
えるのである。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日中なれども
暗澹
(
あんたん
)
として日の光
幽
(
かすか
)
に、陰々たる
中
(
うち
)
に
異形
(
いぎやう
)
なる
雨漏
(
あまもり
)
の壁に染みたるが
仄見
(
ほのみ
)
えて、鬼気人に
逼
(
せま
)
るの感あり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は今靜かに坐つてゐるけれども、その
鼻孔
(
びこう
)
、その口、その額の邊りに、
焦立
(
いらだ
)
ちか頑固か熱情か、その何れかを表示するものが
仄見
(
ほのみ
)
えるやうな氣がした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
遠いタダの知人には
頗
(
すこぶ
)
る
慇懃
(
いんぎん
)
な自筆の
長手紙
(
ながてがみ
)
を配るという処に沼南の政治家的面目が
仄見
(
ほのみ
)
える心地がする。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼女の眼に村瀬の
栗
(
くり
)
色の肉体が
仄見
(
ほのみ
)
えた。ただ一つ、菊の花の
遣
(
や
)
り場が彼女を思ひ惑はせてゐた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
今や世界の平和曙光の
仄見
(
ほのみ
)
えつつあることは前述の如くである。しかしながら一国といえども侵略的の企図を有する国家ある以上は、列国の軍備を制限せんとすることは実際不可能である。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
私の行く手に何者かが異様な
恰好
(
かっこう
)
でうずくまっているのが
仄見
(
ほのみ
)
えたので。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
衷心
(
ちゅうしん
)
から
湧起
(
わきおこ
)
る
武士
(
さむらい
)
の赤誠を
仄見
(
ほのみ
)
せて語ったその態度その
風采
(
ふうさい
)
。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
どうもそういう様子が
仄見
(
ほのみ
)
えるのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
花
仄見
(
ほのみ
)
ゆる春の夜の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
なよびこそ
仄見
(
ほのみ
)
れ。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
茶々は、いよいよ美しくなり、いよいよ母のお
市
(
いち
)
の
方
(
かた
)
もしのぐばかり、美人系の織田家の高貴な血液を、
春蘭
(
しゅんらん
)
の花の肌にも似た頬にも襟すじにも、
仄見
(
ほのみ
)
せて来た。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流
(
ながし
)
の
処
(
ところ
)
に、
浅葱
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が、時ならず、雲から射す、濃い月影のようにちらちらして、
黒髪
(
くろかみ
)
のおくれ毛がはらはらとかかる、鼻筋のすっと
通
(
とお
)
った横顔が
仄見
(
ほのみ
)
えて、白い
拭布
(
ふきん
)
がひらりと動いた。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窓の外には、いよいよ吹き募っている雪のあいだから、ごく近くの木立だとか、農家だとかが
仄見
(
ほのみ
)
えるきりだった。しかし、まだ彼女には汽車がいま大体どの辺を走っているのか見当がついた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼の父は、北条流のながれを汲む三代目安房守
氏勝
(
うじかつ
)
であろう。そうすると、その母は、小田原の北条氏康の
女
(
むすめ
)
である。人品のどこかに、
下賤
(
げせん
)
でないものが、
仄見
(
ほのみ
)
えるのは、道理であった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
気勢
(
けはい
)
がして、仏壇の扉
細目
(
ほそめ
)
に
仄見
(
ほのみ
)
え
給
(
たま
)
ふ
端厳
(
たんごん
)
微妙
(
みみょう
)
の
御顔
(
おんかんばせ
)
。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
仄
漢検1級
部首:⼈
4画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“仄”で始まる語句
仄
仄暗
仄白
仄明
仄聞
仄々
仄青
仄赤
仄紅
仄筆