二度ふたたび)” の例文
どうしても二度ふたたびこの世へ生れ変って来なければならないとしたら、わたしは、春ふる雪となって、またお目にかかることに致します
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「わしの国が今、かりに戦いにほろんで、二度ふたたびここに下野城を築こうとしても、武力や財力では、この真心を集めることはできない」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、美奈子がその墓地の前を通り過ぎようとして、二度ふたたびその兄妹らしい男女を見返つたとき、今度は兄の方が、美奈子の方を振り返つてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
れが一斷念だんねんすればまでであるけれど、二度ふたたび三度みたび戸口とぐちつて足掻あがはじめれば、つてはきたり、つてはきた
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自己の過ちを悔いもせず改めもせで、二度ふたたびこれを継続するがごときは禽獣きんじゅうの行為なりと仰せられ候。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女は一度嫁して其家を出されては仮令二度ふたたび富貴なる夫に嫁すとも、女の道にたがいて大なるはじなり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
二度ふたたび我が叙情詩の時代が来た。一旦民衆によつて閑却された詩は、更にまた彼等の生活にまで帰つて来た。しかも之より先、私等の雑誌『感情』は詩壇の標準時計となつて居た。
動きなき下津盤根しもついはねの太柱と式にて唱ふる古歌さへも、何とはなしにつく/″\嬉しく、身を立つる世のためしぞと其しもの句を吟ずるにも莞爾にこ/\しつゝ二度ふたたびし、壇に向ふて礼拝つゝし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
二度ふたたびつるぎと腕にかけて奪還するから……と、この栄三郎の意気に感じて、左膳もこころよく坤竜を返納したのは、二者ともさすがに侍なればこそといいたい美しい場面であった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
然し互に出會つた處で、二度ふたたびあのやうな華々しい戀を味ふ事が出來るだらうか。早く年を取つて芝居一つ見たくない樣になりたいと云つた言葉が、私の心には死の報知よりも悲しく響いてゐる。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
かずき被替かけかえて虚兵を張り、人形を身代みがわりにして下枝を隠し、二度ふたたび毒刃どくじんを外して三度目に、得三が親仁おやじを追懸け出でて、老婆に出逢い、一条の物語に少しくひまの取れたるにぞ、いでこの時と泰助は
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
七日七夜ヲテ高野山ニ上リ、先大師ノ御前ニ参、我父存命ナラバ二度ふたたび本意ヲ遂ゲ、討死シ給フナラバ後生ヲ助テ給レト手ヲ合テ深ク念願シ、其後聖ノ御坊ヲ尋テ参ケレバ、世ニ頼モシクコソ隠シ置
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
二度ふたたび鉞が!
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、美奈子がその墓地の前を通り過ぎようとして、二度ふたたびその兄妹らしい男女を見返ったとき、今度は兄の方が、美奈子の方を振り返っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ひとたび心配した与八は、二度ふたたび安心はしましたけれども、ともかく、ああして非常の暗示があってみれば、ここにこうしているわけにはゆかない。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび祁山きざん
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といって、二度ふたたび、ヤケに金助の羽織を引っぱり廻すと、金助は火のついたように、それを振り払い
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび誰何すいかした途端に、米友は先方の返事よりも早く、自分の胸に反応が来てしまいました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび大声をあげると、娘は腰から下にかけていた毛布をとって、そのまま力を極めて大の男に投げつけたものですから、大の男がまた大あわてにあわてて、その毛布を取除こうとして
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび、引絞ってみたけれども、馬は両脚を揃えて進むことを躊躇ちゅうちょしている。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび呼ぶ声。久助は聞かないふりをしていると、堪りかねたお雪が
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此寺ここへおいでになってから、これで二度ふたたびあなたの身に殺気の起ったことが私の心に響きました。その一度は、先日の夜、あなたは、今のあの娘さん——お雪ちゃんというのを斬ろうとなさいました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かんにこたえたと見えて、いったん火鉢の中へ納めた火の、かんかんおこったのを二度ふたたび、火箸の先でツマみ上げて、今度はいささかの情け容赦もなく、ゾロリとした羽織の袖をひっぱった上へ載せると
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこで、茂太郎は二度ふたたび、大きな声で呼んでみました
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、矍鑠たるお婆さんは二度ふたたび繰返して言いますと
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二度ふたたび、ていねいに頭を下げました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)