予期よき)” の例文
旧字:豫期
私は本日、全く予期よきせざる心霊現象しんれいげんしょうにぶつかりました。それは信じられないほど神秘しんぴであり、またおどろくべき明確めいかくなる現象であります。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いまでこそ世間はかれを、ヴァイオリンのショパンだといってほめそやすが、わたしはとうからかれのめざましい成長発達せいちょうはったつ予期よきしていた。
最初の日は、あんがい、儀式作法ぎしきさほうの、目にきらびやかな番組ばかりが多く、龍攘虎搏りゅうじょうこはくともいうべき予期よきしていた火のでるような試合しあいがなかったので。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前が生れたのは昭和二十三年(一九四八)五月九日であった。父も母もお前の生れることを予期よきしていなかった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
つばめらは、予期よきしたごとく、あらしって、安々やすやすしまいたけれど、たちは、ひとたまりもなく、うみなかとされてんでしまったのであります。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三四郎は、此手紙を郵函ポストに入れるとき、ときを移さぬ美禰子の返事を予期よきしてゐた。所が折角の封書はたゞつたまゝである。それから美禰子に逢ふ機会は今日迄なかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
予期よきしたようにね。それから夜あけまでのくるしみは、ぼくも予期しなかったことなんだ。
四十五歳の髯男ひげおとこ、小供か小犬の様にうれしい予期よき気分きぶんになって見て居ると、そろそろ落ち出した。大粒小粒、小粒大粒、かわる/″\はすに落ちては、地上にもんどりうって団子だんごの様にころがる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
だがけっして犬死いぬじにでなかった、山田は数十年ののちに、その書きのこした手帳が、なんぴとかの手にはいるとは、予期よきしなかったろうと思う、絶海ぜっかい孤島ことうだ、だれがちょうぜんとして夕陽ゆうひの下に
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
数珠梯子から飛びあがった伊部熊蔵いのべくまぞう伊東十兵衛いとうじゅうべえは、予期よきしていたことであったが、愕然がくぜんとして顔を見合みあわせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、意外にも、研究所の中に大爆発だいばくはつが起こった。ひどい爆発だった。まったく予期よきしない爆発だ。わしは一大閃光いちだいせんこうのために、いきなり目をやられた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私たちは、その腹の中に赤ん坊が入っていることを予期よきすることができないほど小さかった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
と云つて、此後悔を予期よきして、無理に応急の返事を、左も自然らしく得意にき散らす程に軽薄ではなかつた。だからたゞだまつてゐる。さうしてだまつてゐる事が如何にも半間はんまであると自覚してゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はっとおもって、予期よきしたとおりだと、むねがどきどきしました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
と警部が激励げきれいしたので、ワッとわめいて室内におどりこみました。そこには予期よきしていたとおり、頭のない洋服を着た怪物がゾロゾロといまわっていました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
博士がこんなにずばりと、金属人間のことを口にするとは予期よきしていなかったのだ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夫が死ねば、妻もまた自然に死ぬ! 夫の放言ほうげんが今死にのぞんで、始めて合点がてんがいった。夫はいつか、こんなことの起るのを予期よきしていたのか知れない。あたしもここで、いさぎよく死を祝福しましょう!
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)