“ながしめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
流眄66.7%
秋波13.1%
流盻10.1%
流瞥2.0%
眄目2.0%
嬌睨1.0%
流目1.0%
流眸1.0%
流観1.0%
邪視1.0%
顧眄1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
法水は、神学セオロジイとの観念上の対立以外に、嘲笑を浴びたような気がしたが、ジナイーダは相手の沈黙を流眄ながしめに見て、いよいよ冷静にことばを続ける。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは美しい女であったが、珏の方を見てにっと笑って、何かいいたそうにしたが、やがて秋波ながしめをして四辺あたりを見た後にいった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
魚屋の言葉を真実だとすると、擁剣蟹は白熱した太陽の正視を怖れているのみならず、また青白い満月の流盻ながしめをすらも嫌がっているのだ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
時には蠱惑的の流瞥ながしめさえして、男達と何んのわだかまりもなく、時にはほとんど性的の方で、無道徳だと思われる程にも、自由に大胆に話し振舞い、それが普通だとしている様子は、むしろ私には快い
そうしてズボンのポケットから青黒い大きな宝石を一個取り出して、大の字型に投げ出した彼の右の掌に握り込ませると、その上からシッカリと両手で押えつけながら眄目ながしめに彼を振り返った。
童貞 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「まあ勿体ない若さま」双葉嬢は二杯の酒にぽっと眼のふちを染め、またとなきこの恩寵おんちょうに対して飛切りの嬌睨ながしめをもって答えた。「——そんなに仰せられますと本気にお受け申しましてよ」
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
玩具店を張る老婦も、神前にぬかずく商人風の男も、袋物店の娘に流目ながしめを投げてゆく若者も、すべて神の使わしめの鳩のように、何の悩みもなく、無心の中に春の恵みを祝福しているのだった。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
本性ほんしょうたがわぬ生酔なまえいの口は、酒よりもなめらかなり。千々岩は黙然としいる武男を流眸ながしめに見て、「○○○○、確か青物町あおものちょうの。あれは一時もうかったそうじゃないか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「皇后を迎へた王と市民の喜びの流観ながしめは、俺の方にも見せて呉れるだらう、ちよつとぐらゐ。」こんなことを思つた。
闘戦勝仏 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
赤らめしが思ひ切てわたくしで御座ります然樣さやう聞成きゝなされたらさぞいやで御座りませうと云つゝ邪視ながしめに見やりたる其艷色うつくしさにナニ夫が眞實ほんたうならどうして/\此重四郎が身に取ては實に本望ほんまうなりと云ふとき人來りければ二人は素知そしらぬていにて左右さいうわかれ其のち藤澤へ歸りてよりなほお勇と相談さうだんうへ小松屋文右衞門は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
只無智無自覚である此女にも、孤独の寂しさに堪へることの出来ない本能的慾望が、盲目ながらも根強く働いて居た。宇宙の大法則に引きずられて彼は今こゝに衆人の冷たい顧眄ながしめを慕うて来た。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)