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きふなん
柳川君、
私は
※る
日黄乳樹の
林の
邊で、
圖らずも
君等の
急難をお
助け
申した
時から、
左樣思つて
居つたのです。
殆ど、
五分置き
六分置きに
搖返す
地震を
恐れ、また
火を
避け、はかなく
燒出された
人々などが、おもひおもひに、
急難、
危厄を
逃げのびた、
四谷見附そと、
新公園の
内外、
幾千萬の
群集は
成程、
此處から
大佐等の
住へる
海岸の
家までは三十
里以上、
飛ぶ
鳥でもなければ
通はれぬ
此難山を、
如何にして
目下の
急難を
報知するかと
審るのであらう。
今は
死を
待つばかりなり。
即ち
難を
貴下の
許に
報ず、
稻妻幸に
死せずして、
貴下に
此書を
呈するを
得ば、
大佐よ、
乞ふ
策を
廻らして
吾等の
急難を
救ひ
玉へ。