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がんぜき
眞暗になつて、
恰も
墜道のやうに
物淋しい
道を、
武村兵曹が
即座に
點じた
球燈の
光に
照して、
右に
折れ、
左に
轉じて、
凡そ百四五十ヤードも
進むと、
岩石が
前と
後に
裂け
離れて、
峽をなし
山半は
老樹条をつらね
半より上は
岩石畳々として
其形竜躍虎怒がごとく
奇々怪々言べからず。
麓の左右に
渓川あり
合して
滝をなす、
絶景又
言べからず。
旱の時此
滝壺に
雩すればかならず
験あり。
『
此處です。』と
一言を
殘して、
先づ
鐵門を
窬つた、
私もつゞいて
其中に
入ると、
忽ち
見る、
此處は、
四方數百間の
大洞窟で、
前後左右は
削つた
樣な
巖石に
圍まれ、
上部には
天窓のやうな