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かいこんち
おつぎは
自分も
毎日行つて
居たので
開墾地から
運んだ
櫟の
根は
皆知つて
居る。おつぎは
其の
櫟の
根を
獨りで
竊に
引き
出した。
トラックは
開墾地の間を縫っている曲折の多い山道を
濛々たる土煙をあげよたよたと走った。この辺は
佐原山の頂上であって、数年前までは笹や
灌木などの密生した全くの
荒蕪地であったのである。
われらは、ともすると、
雲に
入つて
雲を
忘るゝ……三
本木は、
柳田国男さんの
雑誌——(
郷土研究)と、
近くまた(
郷土会記録)とに
教へられた、
伝説をさながら
事実に
殆ど
奇蹟的の
開墾地である。
卯平は
横臥した
儘でおつぎが
喚んだ
時に
來なかつた。おつぎが
再び
聲を
掛けて
開墾地へ
出てからも
彼は
暫く
懶い
身體を
蒲團から
起さなかつた。
老人等は
一先自分の
家に
歸つた。
卯平も
隣の
森の
陰翳が一
杯に
掩うて
居る
狹い
庭に
立つた
時は、
勘次はおつぎを
連れて
開墾地へ
出た
後であつた。