りく)” の例文
わたくしと、日出雄少年ひでをせうねんと、ほか一群いちぐん水兵すいへいとは、りくとゞまつて、その試運轉しうんてん光景くわうけいながめつゝ、花火はなびげ、はたり、大喝采だいかつさいをやるつもりだ。
たとえ、ちちは、たがいにおもっても、いく千マイルとなくへだたっていました。そして、まだ、なんのりくらしいものもにはいりません。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三郎の弟にらんという者があった。事情があってこうにゆく道で、まわり道をして母方の親類にあたるりくという者の家へいって泊った。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
後生こうせいを口にすること、一派の癖のやうになりぬ。りくに汽車あり、海に汽船あり、今や文明の世の便利を主とすればなるべし。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
……航路かうろも、おなじやうに難儀なんぎであつた。もしこれをりくにしようか。約六十里やくろくじふりあまつてとほい。肝心かんじんことは、路銀ろぎん高値たかい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ガンたちは、島の上に安全な寝場所ねばしょを見つけようとして、夕方おそくまでんでいたのでした。りくには、どこにも休むことができませんでした。
ふたりがむこう岸へついたとたん、渡し守は王さまの手にさおをにぎらせるがはやいか、じぶんはりくにとびあがって、にげていってしまいました。
但馬たじま実家さとへ帰した妻のおりく——今年生れの大三郎——。又、るり女は何うしているか? 吉千代は無事だろうか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうぞ此同舟の会合を最後の団欒だんらんとして、たもとを分つてりくのぼり、おの/\いさぎよく処決してもらひたい。自分等父子ふし最早もはや思ひ置くこともないが、あとには女小供がある。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そり(字彙)禹王うわう水ををさめし時のりたる物四ツあり、水にはふねりくには車、どろにはそり、山にはかんじき。(書経註)しかれば此そりといふもの唐土もろこしの上古よりありしぞかし。
ふたゝりくかへる、それで——それが第一だいいち歩調ほてうすべてゞある』と海龜うみがめは、にはかにこゑおとしてひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
りくはうると、いつしかふねみなと目近まぢかすゝんで、桑港さうかう町々まち/\はついはなさきえる。我等われらとまるべきフェアモント・ホテルはたかをかうへつてる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
この時ふなばたに立ちてこの歌をうたうわがこころを君知りたもうや、げにりくを卑しみ海をおそれぬものならではいかでこのこころを知らんや、ああされど君は知りたもう——
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
安達夫人と共に船ばたに立ちさふらひしに、夕映ゆふはえの際立ちてきらやかに美しく見え申してさふらへば、その奥なるアフリカのりくも思ひ遺られて微笑ほゝゑまれも致しさふらひし。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「おっかさん、おっかさん。おっかさん。」タネリはりくの方へげながら一生けんめいさけびました。すると犬神はまるでこわい顔をして口をぱくぱくうごかしました。
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
りく菩提樹ぼだいじゅの蔭に「死の宗教」の花が咲いた印度のうみは、を求めてくことを知らぬ死の海である。烈しいあつさのせいもあろうが、印度洋は人の気を変にする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それに、ペリーがきてからは、日本国にっぽんこくじゅうで、うみのまもりや、りくしろづくりのはなしおおさわぎをしているときでしたから、諭吉ゆきちは、いっそうこのほんをよんでみたくなりました。
そらりくうみ
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
わしはよるとなく、ひるとなく、幾日いくにちか、きたたびをしました。砂漠さばくえ、やまえ、りくえて、青々あおあおとしたうみうえんでゆきました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この東風ひがしかぜいてために、輕氣球けいきゝゆうは、たちま進行しんかう方向ほうかうへんじて、今度こんどは、りく方面ほうめんからなゝめに、海洋かいやうほうへときやられた。
いよいよ、一同いちどうのものがりくにあがりますと、鳥のいったとおりのことがおこりました。キツネ色のりっぱな馬が一とう、まっしぐらにとんできました。
そして、海の神さまたちが島に住んでいるりくの神さまたちと戦おうとして、いま島のまわりに集まって、よじのぼろうとしているのだと考えてみました。
くりやでは、かゆを煮、式台には、妻女のおりくだの、主税ちからだの、召使たちもこぞって出ていた。そして駕籠を見ると
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そり(字彙)禹王うわう水ををさめし時のりたる物四ツあり、水にはふねりくには車、どろにはそり、山にはかんじき。(書経註)しかれば此そりといふもの唐土もろこしの上古よりありしぞかし。
爾時そのときふねからりくわたしたいた眞直まつすぐになる。これをわたつて、今朝けさほとん滿潮まんてうだつたから、與吉よきちやなぎなかぱつあさひがさす、黄金こがねのやうな光線くわうせんに、そのつみのないかほらされて仕事しごとた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しばらくは山轟きぬ木の枝をりくのいかだと云ふやうに引く
いいえ、おとうさん、わたしは、なにもいりません。あなたが、うみうえでおはたらきになったように、わたしはこれから広々ひろびろとしたりくうえはたらきます。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いいか、あいつらがりくにつくとだ、キツネ色の馬が一ぴきとんでくる。すると、王さまはそれにとびのろうとする。
ズルスケは、氷が岸にくっついているところから、りくにとびうつりました。そして、土手どてをかけあがろうとしたとたんに、ニールスが大声で呼びかけました。
『な、な、何故なぜですか。』と、りく仲間なかま一時いちじ顏色がんしよくへたのである。大佐たいさは、たゞちにこのとひにはこたへんとはせで、かうべめぐらして、彼方かなたなる屏風岩べうぶいわほうながめたが、沈欝ちんうつなる調子ちようし
池田久右衛門と名を変えて、内蔵助は、この冬を、炬燵こたつに暮らしていた。但馬たじまから呼びよせた妻のおりくや、吉千代きちちよや、大三郎もそこにいた。長男の主税ちからが、いつも団欒だんらんの中心だった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りくを去るわずかに三ちょう、十分間にして達すべきなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汽船きせんからはろされた小舟こぶねが、りくしてきました。それから、しばらくして、外国人がいこくじんとおとうさんはその小舟こぶねりました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからヨハネスは、まえかけのなかに金で細工さいくしたいろいろの品物しなものをつつんで、りくにあがりました。そして、まっすぐ王女のおしろへむかっていきました。
ここはどこの島かわからないけれど、りくのかげは、一里ばかりあなたに見える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、むすめえると、け、えるとけして、おきから、とおりく燈火ともしびえるようにと、熱心ねっしんにろうそくのとぼしていたのであります。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いや、いや。確かにりく副官のお使いをうけ申して」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、日暮ひぐがたから、幾分いくぶんうみうえが、おだやかになったので、英吉えいきちは、よろこんで、りくほうへ、あらんかぎり、うでちかられてこぎだしました。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあやしげなふね姿すがたえなくなってしまったとき、若者わかものたちははしけをこいでりくがってきました。そして老人ろうじんかって
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、それが、ちかづいたときには、おおきなくまであることがわかりました。くまはどうかして、りくがりたいと、あせっているようでした。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
りくちかいところには、いわかさなりっていて、そのいわ打突ぶつかるとなみのしぶきが、きりとなって、夕暮ゆうぐれのそらこまかくひかってがっています。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
おつは、まったく、くるってしまったのです。あの二人ふたりったふねは、あちらのりく暴風ぼうふうのためきつけられました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこでそのふねかって、りくからいろいろの合図あいずをいたしました。けれど、そのふねからはなんの返答へんとうもありませんでした。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、しろふねが一そうこのみなとなかにはいってきました。そしてみなとうち停泊ていはくすると、小舟こぶねいくつもはこんでりくをさしてこいできました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるおんな人魚にんぎょは、子供こどもとすために、つめたい、くらなみあいだおよいで、りくほうかってちかづいてきました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりは、幾日いくにちめかでりくがって、はじめてすなうえにうずくまったのであったが、まもなく、ふねひとがきて、二人ふたりは、あちらにれられてゆきました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今日きょうは、いやなものをた。さあ、まちがいのないうちにりくかえろう。」と、みんなはいいました。そして、りくかって、いそいでふねかえしました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、くまが、りくがってきてはたいへんだとおもいました。どんなに、あばれまわるかしれないからです。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、もう、このふねうえで、ながらしてきた、りくよりも、どこよりもうみうえ安心あんしんだとおもっているよ。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
侍女こしもとたちがってげる金銀きんぎんかがやきと、おひめさまのあか着物きものとが、さながらくもうような、夕日ゆうひうつ光景こうけいは、やはりりく人々ひとびとられたのです。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)