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鬱屈
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うっくつ
ふりがな文庫
“
鬱屈
(
うっくつ
)” の例文
「あんまり月がよかったものですから、
鬱屈
(
うっくつ
)
してらっしゃる先生に湖上の月をお見せ申して、慰めて上げたいと思ったばっかりに……」
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしながら我々は、既にこの単調から
鬱屈
(
うっくつ
)
している。今や眠れるものの上に、新しき欲情は呼び起され、世界の変化は近づいている。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
甲州在陣中、何か生理的に
鬱屈
(
うっくつ
)
していたものが、はじめて発散したように快適を覚えた。
風邪気
(
かぜけ
)
の微熱が除かれたように軽々した。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう言う動作をくり返して居る間に、自然な感情の
鬱屈
(
うっくつ
)
と、休息を欲するからだの疲れとが、九体の神の心を、人間に返した。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ただしかし、当の一郎だけは、なにか心に
鬱屈
(
うっくつ
)
するところがあるらしく、憂愁に充ちた顔つきをしていた。それは驚くほど深刻な顔つきであった。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
▼ もっと見る
きのう電車で
駛
(
はし
)
って来た沿線の
曠田
(
こうでん
)
の緑と
蓮池
(
はすいけ
)
の
薄紅
(
うすべに
)
とが
遥
(
はるか
)
に
模糊
(
もこ
)
とした
曇天光
(
どんてんこう
)
まで続いて、ただ一つの
巒色
(
らんしょく
)
の濃い、低い小牧山が小さく
鬱屈
(
うっくつ
)
している。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そしてわたくしは茲にも表現されずして
鬱屈
(
うっくつ
)
している一族の家霊を実物証明によって見出すのであった。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
が、どうして、幾日も幾日もの
鬱屈
(
うっくつ
)
の床で、光明に
眼醒
(
めざ
)
めてじっとしていられよう!
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
手に/\薪を負ひて
樵路
(
しょうろ
)
を下り来るに逢ひ、顛末を語り介抱せられて家に帰り着きたりしが、心中
鬱屈
(
うっくつ
)
し顔色
憔悴
(
しょうすい
)
して食事も進まず、妻子等色々と保養を加へ、五十余日して漸く回復したりと也。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それで一倍
鬱屈
(
うっくつ
)
したので。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こう体のうちに
鬱屈
(
うっくつ
)
している元気とでもいうようなものが、血の底に
溜
(
たま
)
って、それがひどくなると、
暗鬱
(
あんうつ
)
にさえなってくるのじゃないかと思います
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、いつものように花やかには執り行われないが、人気というものはかえって、こんな際に
鬱屈
(
うっくつ
)
するものだから、底景気はなかなか盛んであるらしい。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
詩を思う人の心は、常に
現在
(
ザイン
)
しないものへ向って、熱情の
渇
(
かわ
)
いた手を伸ばしている。そして実に多くの詩人は、彼自身の存在に
鬱屈
(
うっくつ
)
しており、自己に対して
憎悪
(
ぞうお
)
と
嫌忌
(
けんき
)
とを感じているのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
むす子が親に訣れた後のなにか青年期の
鬱屈
(
うっくつ
)
を晴らす為にじょきじょき鳴らす刃物かとも思い、ちょっとの間ぎょっとしたが、さりげない様子で根気よくむす子に室内の家具の配置を定めさせた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこで憂いの多い若い仲間が、
稀
(
たま
)
に
鬱屈
(
うっくつ
)
を伸ばすために、かつてはあったが近頃は絶えていた汁講を復活して、
一昨年
(
おととし
)
あたりから月々集まっていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乗物を捨て、
頭巾
(
ずきん
)
をかぶって、山内へさまよい込んだのは、何か
鬱屈
(
うっくつ
)
して堪え難いものがあるからです。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或
(
あるい
)
は詩は霊魂の窓であると言い、天啓の声であると言い、或は自然の黙契であると言い、記憶への郷愁だと言い、生命の躍動だと言い、
鬱屈
(
うっくつ
)
からの解放だと言い、一々個人によって意見を異にし
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「それは、永々の
鬱屈
(
うっくつ
)
ゆえに、何なりと仰せつけ下さらば、お相手の御辞退は
仕
(
つかまつ
)
りませぬ」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
玄蕃允
(
げんばのじょう
)
は、もういちど、口の
裡
(
うち
)
で繰りかえした。彼の
旺盛
(
おうせい
)
な戦意や日頃の性格からしても、月余にわたる無為に似た長陣は、もはや到底耐えきれない
鬱屈
(
うっくつ
)
となりかけていたにちがいない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鬱屈
(
うっくつ
)
たる怪物であると共に、湧くが如き才物であることを、思わせられて、どのみち、非凡の男には相違ないが、どうも非凡過ぎるところがあると、それが気になり出してきました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
鬱屈
(
うっくつ
)
をふるい
起
(
た
)
たせたものが、どれほどかかずしれない。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何か気に
鬱屈
(
うっくつ
)
があってこうしているのかと思えば、そうではなくて、この小型の蒸気船の模型と、それを見ながら幾つも幾つも線と劃を引張ることに一心不乱であるものらしく見えます。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
竜之助は
苦
(
にが
)
り切って、その
面
(
かお
)
には負けず根性の中に
抑
(
おさ
)
え難い
鬱屈
(
うっくつ
)
が
漲
(
みなぎ
)
っている、それを無理に抑えつけて、半ば
不貞返
(
ふてかえ
)
った気味のお浜の言い分を黙って聞き流しているが、折にふれて夫婦の間には
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“鬱屈”の意味
《名詞》
気分が晴々せずに塞ぐこと。
(context、dated)地勢が曲がりくねること。
(出典:Wiktionary)
鬱
常用漢字
中学
部首:⾿
29画
屈
常用漢字
中学
部首:⼫
8画
“鬱”で始まる語句
鬱
鬱陶
鬱蒼
鬱憤
鬱々
鬱金
鬱勃
鬱積
鬱然
鬱懐