飄々へう/\)” の例文
飄々へう/\として神田へ歸る錢形平次。その洒脱にさへ見える後ろ姿を見ると、八五郎の鬪爭心を以てしても、どうすることも出來ません。
况んや前山の雲のたゝずまひの無心のうちにおのづからの秋の姿をそなへて、飄々へう/\高く揚らんとするの趣ある、我はいよ/\心を奪はれぬ。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
太綱ふとづな一端いつたん前齒まへばくはへてする/\と竿さをのぼりてたゞち龍頭りうづいたる。蒼空あをぞらひとてんあり、飄々へう/\としてかぜかる。これとするにらず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暖国の雪一尺以下ならば山川村里さんせんそんり立地たちどころ銀世界ぎんせかいをなし、雪の飄々へう/\翩々へん/\たるをて花にたとへ玉にくらべ、勝望美景しようばうびけいあいし、酒食しゆしよく音律おんりつたのしみへ、うつことばにつらねて称翫しようくわんするは和漢わかん古今の通例つうれいなれども
飄々へう/\として歸つて行くのが例ですが、どうかするとまた、飛んだ大物を嗅ぎ出して來て、平次に一と汗かゝせることがないでもありません。
うしたにも、生命いのちをしさに、はれたとほりにふさぎましたあとは、すそうづのやうにあしあふつてからみつきますのと、兩方りやうはうみゝかぜあたつて、飄々へう/\りましたのばかりをおぼえてります。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)