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へう/\
太綱の
一端を
前齒に
銜へてする/\と
竿を
上りて
直に
龍頭に
至る。
蒼空に
人の
點あり、
飄々として
風に
吹かる。これ
尚ほ
奇とするに
足らず。
暖国の雪一尺以下ならば
山川村里立地に
銀世界をなし、雪の
飄々翩々たるを
観て花に
諭へ玉に
比べ、
勝望美景を
愛し、
酒食音律の
楽を
添へ、
画に
写し
詞につらねて
称翫するは
和漢古今の
通例なれども
遂に
件の
甕に
騎りて、もこ/\と
天上す。
令史敢て
動かず、
昇ること
漂々として
愈々高く、やがて、
高山の
頂一の
蔚然たる
林の
間に
至る。こゝに
翠帳あり。