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頂邊
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てつぺん
途中お
納戸町邊の
狹い
道で、
七八十尺切立ての
白煉瓦に、
崖を
落ちる
瀑のやうな
龜裂が、
枝を
打つて、
三條ばかり
頂邊から
走りかゝつて
居るのには
肝を
冷した。
『あれは
何でしよう、そら
彼の
山の
頂邊の三
角の
家のやうなもの。』
頂邊討てば、メネラオス走りかゝりて敵將の 615
が、
恁くまでの
激震に、
四谷見附の、
高い、あの、
火の
見の
頂邊に
活きて
人があらうとは
思はれない。
私たちは、
雲の
底で、
天が
摺半鐘を
打つ、と
思つて
戰慄した。
『そら
彼の
山の
頂邊の、そら……。』
瓦を
粉にしたやうな
眞赤な
砂煙に、
咽喉を
詰らせて
歸りがけ、
見付の
火の
見櫓の
頂邊で、かう、
薄赤い、おぼろ
月夜のうちに、
人影の
入亂れるやうな
光景を
見たが。