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雑駁
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ざっぱく
ふりがな文庫
“
雑駁
(
ざっぱく
)” の例文
俺は低劣臆病の一面、傲慢なところのある男で、
顕裔門閥
(
けんえいもんばつ
)
が非常な誇だったから、この質問は至極俺を喜ばしたが、殊更
雑駁
(
ざっぱく
)
に
湖畔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
川上とて、いまも生きて舞台に立っていたならば、新派創造時代の
雑駁
(
ざっぱく
)
な面影をとどめていて、むしろ恥多き晩年であったかもしれない。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
内容も
雑駁
(
ざっぱく
)
で、なかにはイエスの救いを切望する敬虔な魂もあったであろうが、大部分は教養の低い、信仰心の浅い群衆であり
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
及び問題を
愚痴
(
ぐち
)
雑駁
(
ざっぱく
)
なる附随物から切り離して、最も簡明また適切なる形として他の同志に引き続ぐことにあるのである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
外界から来る
雑駁
(
ざっぱく
)
な刺戟と、内心のかなりに
纏
(
まと
)
まっている落着きが、皮膚の表面で混乱しているような心持になりながら
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
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公館の饗応においてはいまだ国会のために祝杯を傾けずしてかえってまず陸海軍の人のためにこれを傾くるがごとき
雑駁
(
ざっぱく
)
なる習慣はいかにして生じたるか。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼の知識は豊富な代りに
雑駁
(
ざっぱく
)
であった。したがって彼は多くの問題に口を出したがった。けれどもいつまで行っても傍観者の態度を離れる事ができなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
長々と
雑駁
(
ざっぱく
)
なお談義を続けましたが、私という者を媒介に其当時に於ける登山の有様の幾分でも知って頂いて、何かの折の御参考ともならば望外の幸であります。
登山談義
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
概
(
おおむ
)
ね現代の文学者は、詩人でもなく美術家でもない、中途半端で
雑駁
(
ざっぱく
)
なデモ文士にすぎないのである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それは抽斎が哲学文芸において、考証家として樹立することを得るだけの地位に達していたのに、わたくしは
雑駁
(
ざっぱく
)
なるヂレッタンチスムの
境界
(
きょうがい
)
を脱することが出来ない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
クリストフは多少皮肉に
微笑
(
ほほえ
)
みながら、ジャニコロの覧台から、
雑駁
(
ざっぱく
)
でしかも調子のとれたこの都会をながめた。それはこの都市がかつて統御した全世界の象徴だった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
滔々
(
とうとう
)
たる天下、真偽
雑駁
(
ざっぱく
)
、善悪混同、いずれを
是
(
ぜ
)
としいずれを非とすべきや。はなはだしきに至りては、人望の属するを見て、本人の不智不徳を
卜
(
ぼく
)
すべき者なきにあらず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
われら神聖なる哲学の徒は彼らの抱ける善の玉のいかに不純不透明にして
雑駁
(
ざっぱく
)
なる
混淆物
(
こんこうぶつ
)
を含みおるかを示して、雨に濡れたる
艶消玉
(
つやけしだま
)
の月に輝く美しさを探ることを教えねばならない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
丁度あの雑誌の中に現われていたものは、そのまま学校の方にも
宛嵌
(
あては
)
めて見ることが出来た。こうした意気込の強い、
雑駁
(
ざっぱく
)
な学問の空気の中が、捨吉の胸に浮んで来る麹町の学校だった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
実際、
馬鹿面踊
(
ばかめんおど
)
りの
極意
(
ごくい
)
に達している道庵の眼から見れば、小金ヶ原の場末から起り出した不統一な、
雑駁
(
ざっぱく
)
な、でたらめな、この
輩
(
やから
)
の連中の踊りっぷりなんぞは、見ていられないのかも知れません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その一つは、村で
産土
(
うぶすな
)
とも、また氏神ともいうお社がきゅうに大きくなってきて、これをお祭り申す人員が増加し、なかまがいくぶんか
雑駁
(
ざっぱく
)
になったことである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そもそも社会を組織するの分子は、実に
雑駁
(
ざっぱく
)
なるものなれば、その運動のごときも決して単純の法則のみにて支配せらるべきものにあらざるはもとより論をまたず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
無趣味
雑駁
(
ざっぱく
)
な俗語として、単に日常生活の所用を弁ずるだけの言語として止まっていた。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
学期ごとにこんな風で、専門の学問に手を出した事のない子爵には、どんな物だか見当の附かぬ学科さえあるが、とにかく随分
雑駁
(
ざっぱく
)
な学問のしようをしているらしいと云う事だけは判断が出来た。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
一羽の
鳶
(
とび
)
も見えぬ。上の静なるだけに下はすこぶる
雑駁
(
ざっぱく
)
な世界である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自
(
おのず
)
から
円融
(
えんゆう
)
活滑の制をなしたるものなれども、外に対する点においては、かかる
雑駁
(
ざっぱく
)
にして錯綜したる非論理的政制の
甚
(
はなは
)
だ不都合なるは、余儀なき次第といわざるを得ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
然るに、日本の小説家には、そうした
風貌
(
ふうぼう
)
を感じさせる作家が、殆ど
稀
(
ま
)
れにしかいないのである。日本のたいていの作家は、単に文士 Writer という
雑駁
(
ざっぱく
)
な感銘をあたえるのみである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
従ってそれが山神の産養いという類の猟人等が言い伝えと、
元
(
もと
)
は果して一つであるか否かも、容易に決断することはできぬのだが、山姥の信仰が今ほど
雑駁
(
ざっぱく
)
になった上はいたしかたのないことである。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
実に異種異類
雑駁
(
ざっぱく
)
なる分子の集合体にして、その雑駁なるほど、その自他の関係は至密至細に赴くものなれば、ただその一部を採りてただちにその将来を卜せんと欲するは、けだし難かるべし。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
駁
漢検準1級
部首:⾺
14画
“雑”で始まる語句
雑
雑沓
雑巾
雑魚
雑木
雑鬧
雑作
雑誌
雑言
雑人