トップ
>
鋭鋒
>
えいほう
ふりがな文庫
“
鋭鋒
(
えいほう
)” の例文
つつんでいた才気は
徐々
(
じょじょ
)
に
鋭鋒
(
えいほう
)
をあらわし、その多芸な技能は、やがて王大将のおそばには、なくてならない
寵臣
(
ちょうしん
)
の一名となっていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大蓮華山の方面では頻りに雲が湧き上っている。其先端は黒部の谷を横切って、時々劒岳の
鋭鋒
(
えいほう
)
に砥の粉を打ったような霧を浴びせる。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
相手を下にも置かずもてなしながら、卑屈なところは
微塵
(
みじん
)
もないし、巧みに
鋭鋒
(
えいほう
)
をいなす態度は、見ていても頬笑ましいくらいであった。
古今集巻之五
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
客観写生に熟練して来ると、知らず
識
(
し
)
らず作者の個性が隠そうとしても隠すことが出来なくなり、その
鋭鋒
(
えいほう
)
が客観描写という袋を突いて出て来る。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
お徳の
鋭鋒
(
えいほう
)
を避け、実はお秋を誘い出しにかかったことも白状しましたが、お徳を殺したことはどうしても言わず、それに証拠は一つもありません。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
今まさに秋とて
匈奴
(
きょうど
)
の馬は肥え、
寡兵
(
かへい
)
をもってしては、騎馬戦を得意とする彼らの
鋭鋒
(
えいほう
)
には
些
(
いささ
)
か当たりがたい。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
管鮑の交りは少時問わず、我我は皆多少にもせよ、我我の親密なる友人知己を憎悪し或は
軽蔑
(
けいべつ
)
している。が、憎悪も利害の前には
鋭鋒
(
えいほう
)
を収めるのに相違ない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
道場も横領したいし、源三郎も手に入れたいし……これでは、お蓮様の
鋭鋒
(
えいほう
)
もすっかりにぶってしまって、峰丹波の眼から見ると、はがゆいことばっかりなのはむりもない。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
君の崇拝する篠田先生も紡績女工の夜業などには、
大分
(
だいぶ
)
八
(
や
)
ヶ
間敷
(
ましく
)
鋭鋒
(
えいほう
)
を向けられるが、新聞配達の夜業はドウしたもんだイ、
他
(
ひと
)
の目に
在
(
あ
)
る塵を
算
(
かぞ
)
へて
己
(
おのれ
)
の目に在る
梁木
(
うつばり
)
を
御存
(
ごぞんじ
)
ないのか、矢ツ張り
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
お常は器械的に、いつものように働いているうちに、夫に打っ附かろうと思った
鋭鋒
(
えいほう
)
は次第に
挫
(
くじ
)
けて来た。これまでもひどい
勢
(
いきおい
)
で、石垣に頭を打ち附ける積りで、夫に衝突したことは、度々ある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
田島は敵の意外の
鋭鋒
(
えいほう
)
にたじろぎながらも
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
巧みにその
鋭鋒
(
えいほう
)
をさけようと試みた。
途上の犯人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
しかし多くのばあい戦の成敗は微妙なある瞬間に懸っている、全滅を期した源七郎の戦気が、ついに敵の
鋭鋒
(
えいほう
)
を
挫
(
くじ
)
くときがきた。
青竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
でなくてさえ、山門勢の
鋭鋒
(
えいほう
)
に押しまくられていた六波羅方は、唐崎の陣をすてて、みぎたなく
潰乱
(
かいらん
)
しだした。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
沁々
(
しみじみ
)
とした調子に引入れられるともなく、平次も思わず
固唾
(
かたず
)
を呑んで
鋭鋒
(
えいほう
)
をゆるめます。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
科人
(
とがにん
)
と知りながら、こうまでつくしてくれるであろう? いまの言葉によれば、自分を思っていてくれる——とのことだが、もしそれが父の十手の
鋭鋒
(
えいほう
)
を
鈍
(
にぶ
)
らすための、単なる一時の
方便
(
ほうべん
)
でなく
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
凄
(
すさ
)
まじい気を吹いて、はや一太刀先へ
揮
(
ふ
)
りこんだので、善鬼は、ばッと、
踵
(
かかと
)
を
退
(
ひ
)
き、さらにまた、相手の
鋭鋒
(
えいほう
)
を避けて、二度まであとへ飛び
退
(
さ
)
がってから、初めて、ぎらっと
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泌々
(
しみ/″\
)
とした調子に引入れられるともなく、平次も思はず
固唾
(
かたづ
)
を呑んで
鋭鋒
(
えいほう
)
をゆるめます。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼等は二人きりでこの曲輪の草地へ出て来て、袋竹刀で烈しく打合った。体力に勝れていた宗利は、そのとき小次郎を思うさま叩き伏せてやる積だったが、相手は巧に
鋭鋒
(
えいほう
)
を避けて逃げ廻った。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、当り難い敵の士気をさとったので、にわかに、彼の
鋭鋒
(
えいほう
)
を避けて
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市五郎は少しばかり
鋭鋒
(
えいほう
)
を納めて、茶碗酒の手を休めました。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その斎藤隊の
鋭鋒
(
えいほう
)
を、防ぎかねて見えた高山右近の部下も
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鋭
常用漢字
中学
部首:⾦
15画
鋒
漢検準1級
部首:⾦
15画
“鋭”で始まる語句
鋭
鋭利
鋭敏
鋭声
鋭刃
鋭聲
鋭眼
鋭角
鋭音
鋭峻