金壺眼かなつぼまなこ)” の例文
真中の窪んだしゃくった面で、鉢のひらいた福助頭ふくすけあたま。出ッ張ったおでこの下に、見るからにひとの悪るそうなキョロリとした金壺眼かなつぼまなこ
直行は又その辛し、恨し、悲しとやうの情に堪へざらんとする満枝が顔をば、ひそか金壺眼かなつぼまなこの一角をとろかしつつ眺入ながめいるにぞありける。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此犬はあまり大きくもないが、金壺眼かなつぼまなこの意地悪い悪相あくそうをした犬で、滅多めったに恐怖と云うものを知らぬ鶴子すら初めて見た時はおびえて泣いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
金壺眼かなつぼまなこふさがねえ。その人がまりを取ると、三毛のぶちが、ぶよ、ぶよ、一度、ぷくりと腹を出いて、目がぎょろりと光ッたけ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
会議の時に金壺眼かなつぼまなこをぐりつかせて、おれを睨めた時は憎い奴だと思つたが、あとで考へると、それも赤シヤツのねち/\した猫撫声よりはましだ。
坊っちやん (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
○「いえ、そら久しい以前あと絵に出た芳年よしとしいたんで、鰐鮫わにざめを竹槍で突殺つッころしている、鼻が柘榴鼻ざくろッぱなで口が鰐口で、眼が金壺眼かなつぼまなこで、えへゝゝ御免ねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まだ起きて帳面でもけていたのであろうか? 妙に皺の多い瘠せた顔の奥から、金壺眼かなつぼまなこを眼鏡越しに光らせている姿……鉤裂かぎざきだらけの上衣を着けて
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
まだ生々いきいきとしている小さな金壺眼かなつぼまなこは、まるで二十日鼠はつかねずみが暗い穴からとんがった鼻面はなを突き出して、耳をそばだてたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か
とにかく氏は警笛の異様なる響に夢を破られて、金壺眼かなつぼまなこをこすりこすり玄関先まで出てみたところ、そこにふらふらになって倒れている夫人を見出したのであった。
目明しの三吉は、二本榎の正護院の裏門に突っ立って、もう二刻も金壺眼かなつぼまなこを光らせて居りました。
金壺眼かなつぼまなこのブロンドのクリヒ、慢性の筋肉引きつりのため気味の悪い薄笑いを浮べているカミナー。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
金壺眼かなつぼまなこ、行儀の悪い鼻、釘抜のようにがっしり飛び出た頬骨、無愛想にへの字を作っている口、今に始まったことではないが、どう見てもあんまり人好きのする容貌ではなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
金壺眼かなつぼまなこで、すこしお出額でこの、黒赤い顔の男——子供には、女も男も老人に見えたが、中年人だったのかもしれない——柔らかいはかま穿いて、黒い手げ袋をさげてはいってくると
と云えば大抵お分りでしょう。こういうことは、普通なれば金壺眼かなつぼまなこのお婆さんか、辻待つじまち人力車夫じんりきしゃふが、紹介の労を取るのですが、ホラ、相手方が職業者ではない、身分のある御婦人です。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
会議の時に金壺眼かなつぼまなこをぐりつかせて、おれをにらめた時はにくい奴だと思ったが、あとで考えると、それも赤シャツのねちねちした猫撫声ねこなでごえよりはましだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして、酔いが廻ると、縮れ毛金壺眼かなつぼまなこの、鬼のような面相をしたコルシカ人どもは、大々愉快のうちに、タヌに伝授された『タラノ音頭』を合唱するのである。
白粉おしろいのその頸を、ぬいと出額おでこの下の、小慧こざかしげに、世智辛く光る金壺眼かなつぼまなこで、じろりと見越して
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主人の三七は三十七八の逞しい男で、青黒い惡血質らしい色艶や、白い齒を剥いた黒い齒ぐき、曲つた鼻筋、三角な金壺眼かなつぼまなこ、凄まじい青ひげなど、見るから恐ろしい相好です。
同く慇懃いんぎんに会釈はすれど、疑も無く反対の意を示せる金壺眼かなつぼまなこは光をたくましう女の横顔を瞥見べつけんせり。静にしたる貫一は発作パロキシマきたれる如き苦悩を感じつつ、身を起して直行ただゆきを迎ふれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
プウンとえた臭いを身体から発散させて、見るからに貧弱な小男の、年の頃はまだ四十そこそこくらいであったろうか? 皺の多い顔の奥から金壺眼かなつぼまなこを眼鏡越しに光らせながら
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
ひたいの上の光り具合、少しわしになった赤鼻、金壺眼かなつぼまなこ——など、あまり結構な人相ではなく、慾も人並には深そうですが、主人大坪石見の頼んだ平次を、自分の思い付きのように見せかけたのと
あきれ果てたる直行は金壺眼かなつぼまなここらしてその泣くを眺むる外はあらざりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ひたひの上の光り具合、少しわしになつた赤鼻、金壺眼かなつぼまなこ——など、あまり結構な人相ではなく、慾も人並には深さうですが、主人大坪石見の頼んだ平次を、自分の思ひ付きのやうに見せかけたのと
金杉の竹松はすつかり良い心持ちになつた樣子で、金壺眼かなつぼまなこを細めます。
金杉の竹松はすっかり良い心持になった様子で、金壺眼かなつぼまなこを細めます。
銅六は気味が悪そうに金壺眼かなつぼまなこを光らせました。