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金壺眼
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かなつぼまなこ
ふりがな文庫
“
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)” の例文
真中の窪んだしゃくった面で、鉢のひらいた
福助頭
(
ふくすけあたま
)
。出ッ張ったおでこの下に、見るからにひとの悪るそうなキョロリとした
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
直行は又その辛し、恨し、悲しとやうの情に堪へざらんとする満枝が顔をば、
窃
(
ひそか
)
に
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
の一角を
溶
(
とろか
)
しつつ
眺入
(
ながめい
)
るにぞありける。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
此犬はあまり大きくもないが、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
の意地悪い
悪相
(
あくそう
)
をした犬で、
滅多
(
めった
)
に恐怖と云うものを知らぬ鶴子すら初めて見た時は
魘
(
おび
)
えて泣いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を
塞
(
ふさ
)
がねえ。その人が
毬
(
まり
)
を取ると、三毛の
斑
(
ぶち
)
が、ぶよ、ぶよ、一度、ぷくりと腹を出いて、目がぎょろりと光ッたけ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
会議の時に
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
をぐりつかせて、おれを睨めた時は憎い奴だと思つたが、あとで考へると、それも赤シヤツのねち/\した猫撫声よりはましだ。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
○「いえ、そら久しい
以前
(
あと
)
絵に出た
芳年
(
よしとし
)
の
画
(
か
)
いたんで、
鰐鮫
(
わにざめ
)
を竹槍で
突殺
(
つッころ
)
している、鼻が
柘榴鼻
(
ざくろッぱな
)
で口が鰐口で、眼が
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
で、えへゝゝ御免ねえ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ起きて帳面でも
記
(
つ
)
けていたのであろうか? 妙に皺の多い瘠せた顔の奥から、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を眼鏡越しに光らせている姿……
鉤裂
(
かぎざ
)
きだらけの上衣を着けて
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
まだ
生々
(
いきいき
)
としている小さな
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
は、まるで
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
が暗い穴から
尖
(
とん
)
がった
鼻面
(
はな
)
を突き出して、耳を
欹
(
そばだ
)
てたり、髭をピクピク動かしながら、どこかに猫か
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
とにかく氏は警笛の異様なる響に夢を破られて、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
をこすりこすり玄関先まで出てみたところ、そこにふらふらになって倒れている夫人を見出したのであった。
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
目明しの三吉は、二本榎の正護院の裏門に突っ立って、もう二刻も
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を光らせて居りました。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
のブロンドのクリヒ、慢性の筋肉引きつりのため気味の悪い薄笑いを浮べているカミナー。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
、行儀の悪い鼻、釘抜のようにがっしり飛び出た頬骨、無愛想にへの字を作っている口、今に始まったことではないが、どう見てもあんまり人好きのする容貌ではなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
で、すこしお
出額
(
でこ
)
の、黒赤い顔の男——子供には、女も男も老人に見えたが、中年人だったのかもしれない——柔らかい
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いて、黒い手
提
(
さ
)
げ袋をさげてはいってくると
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
と云えば大抵お分りでしょう。こういうことは、普通なれば
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
のお婆さんか、
辻待
(
つじまち
)
の
人力車夫
(
じんりきしゃふ
)
が、紹介の労を取るのですが、ホラ、相手方が職業者ではない、身分のある御婦人です。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
会議の時に
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
をぐりつかせて、おれを
睨
(
にら
)
めた時は
憎
(
にく
)
い奴だと思ったが、あとで考えると、それも赤シャツのねちねちした
猫撫声
(
ねこなでごえ
)
よりはましだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、酔いが廻ると、縮れ毛
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
の、鬼のような面相をしたコルシカ人どもは、大々愉快のうちに、タヌに伝授された『タラノ音頭』を合唱するのである。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
白粉
(
おしろい
)
のその頸を、ぬいと
出額
(
おでこ
)
の下の、
小慧
(
こざか
)
しげに、世智辛く光る
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
で、じろりと見越して
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
主人の三七は三十七八の逞しい男で、青黒い惡血質らしい色艶や、白い齒を剥いた黒い齒ぐき、曲つた鼻筋、三角な
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
、凄まじい青
髯
(
ひげ
)
など、見るから恐ろしい相好です。
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
同く
慇懃
(
いんぎん
)
に会釈はすれど、疑も無く反対の意を示せる
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
は光を
逞
(
たくまし
)
う女の横顔を
瞥見
(
べつけん
)
せり。静に
臥
(
ふ
)
したる貫一は
発作
(
パロキシマ
)
の
来
(
きた
)
れる如き苦悩を感じつつ、身を起して
直行
(
ただゆき
)
を迎ふれば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
プウンと
饐
(
す
)
えた臭いを身体から発散させて、見るからに貧弱な小男の、年の頃はまだ四十そこそこくらいであったろうか? 皺の多い顔の奥から
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を眼鏡越しに光らせながら
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
額
(
ひたい
)
の上の光り具合、少し
鷲
(
わし
)
になった赤鼻、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
——など、あまり結構な人相ではなく、慾も人並には深そうですが、主人大坪石見の頼んだ平次を、自分の思い付きのように見せかけたのと
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
呆
(
あき
)
れ果てたる直行は
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を
凝
(
こら
)
してその泣くを眺むる外はあらざりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
額
(
ひたひ
)
の上の光り具合、少し
鷲
(
わし
)
になつた赤鼻、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
——など、あまり結構な人相ではなく、慾も人並には深さうですが、主人大坪石見の頼んだ平次を、自分の思ひ付きのやうに見せかけたのと
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金杉の竹松はすつかり良い心持ちになつた樣子で、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を細めます。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金杉の竹松はすっかり良い心持になった様子で、
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を細めます。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
銅六は気味が悪そうに
金壺眼
(
かなつぼまなこ
)
を光らせました。
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
壺
漢検準1級
部首:⼠
12画
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
“金壺”で始まる語句
金壺
金壺笠