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酣
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たけなは
ふりがな文庫
“
酣
(
たけなは
)” の例文
彼はもつと落着いた影の訪れるのを願つてゐるのが私には分つた。お茶が濟んで一時間程後、その夜の樂しさの
酣
(
たけなは
)
な頃、
扉
(
ドア
)
を叩く音がした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
お雪伯母の眼も殆ど全快して、愈四条の店が開かれたのは、翌る年の三月末都の春も漸く
酣
(
たけなは
)
になり、花の便りもぽつ/\聞かれる頃であつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
かれその
酣
(
たけなは
)
なる時になりて、御懷より劒を出だし、
熊曾
(
くまそ
)
が衣の
矜
(
くび
)
九
を取りて、劒もちてその胸より刺し通したまふ時に、その
弟
(
おと
)
建
(
たける
)
見畏みて逃げ出でき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
天氣は上々、春は
酣
(
たけなは
)
、これからお靜の手料理で、八五郎と
酌
(
く
)
み交すのが、まさに
一刻千金
(
いつこくせんきん
)
の有難さだつたのです。
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處
(
そこ
)
でお
料理
(
れうり
)
が、もづくと、
冷豆府
(
ひややつこ
)
、これは
飮
(
の
)
める。
杯
(
さかづき
)
次第
(
しだい
)
にめぐりつゝ、いや、これは
淡白
(
あつさり
)
して
好
(
い
)
い。
酒
(
さけ
)
いよ/\
酣
(
たけなは
)
に、いや、まことに
見
(
み
)
ても
涼
(
すゞ
)
しい。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
そよ吹く風は丁度
酣
(
たけなは
)
なる春の
夜
(
よ
)
の如く
爽
(
さわや
)
かに
静
(
しづか
)
に、身も溶けるやうに
暖
(
あたゝか
)
く、海上の大なる沈静が心を澄ませる。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
恰
(
あたか
)
も奉天の包囲戦が
酣
(
たけなは
)
になつた時であつただらう。夜半を過ぎて秋田の聯隊司令部から電報がとどいた。そのとき兄嫁などはぶるぶるふるへて口が利けなかつたさうであつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
酒
酣
(
たけなは
)
になつた頃、ふと下島が其席へ來合せた。めつたに來ぬ人なので、伊織は金の催促に來たのではないかと、先づ不快に思つた。しかし金を借りた義理があるので、杯をさして
團欒
(
まとゐ
)
に入れた。
ぢいさんばあさん
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蘭の香に寒波押し
来
(
く
)
る夜の闇や春
酣
(
たけなは
)
といふに
間
(
ま
)
はあり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
慈悲悔恨の
弛
(
ゆるみ
)
無く、
修羅
(
しゆら
)
の
戰
(
たゝかひ
)
酣
(
たけなは
)
に
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
芳野の戦ひ
酣
(
たけなは
)
なるの日
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
とすれば、春も暮行くころか、さらずば秋も
酣
(
たけなは
)
のころ。いづれにしても暑くも寒くもない時分であつたらう。
冬の夜がたり
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
盆踊りが
酣
(
たけなは
)
になつたらしく、太鼓の音に
絡
(
から
)
み合つて、歌聲まで、風の吹き廻しで手に取るやうに聽えますが、無精者の八五郎は、わざ/\起き出して、それを見に行く氣にもなりません。
銭形平次捕物控:308 秋祭りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日おもての庭の
此面
(
このも
)
の白つつじ
蕋
(
しべ
)
長
(
なが
)
なれや春
酣
(
たけなは
)
に
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
慈悲悔恨の
弛
(
ゆるみ
)
無く、
修羅
(
しゆら
)
の
戦
(
たたかひ
)
酣
(
たけなは
)
に
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
嵐の如くいよ/\
酣
(
たけなは
)
にしていよ/\急激に、聞く人見る人、目も
眩
(
くら
)
み心も
覆
(
くつがへ
)
る
楽
(
がく
)
と
舞
(
まひ
)
、忽然として止む時はさながら美しき宝石の、砕け、飛び、散つたのを見る時の
心地
(
こゝち
)
に等しく
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
酣
漢検1級
部首:⾣
12画
“酣”を含む語句
酣酔
秋酣
半酣
沈酣
酣睡
酒半酣
酣燈社
酣酔楽
酣酔狼藉
酣醉
酣鍋
酣飲