那様そんな)” の例文
旧字:那樣
法華信者が偏頗へんぱ心で法華に執着する熱心、碁客が碁に対する凝り方、那様そんなのと同様で、自分の存在は九分九厘は遊んでいるのさ。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あれ、貴僧あなた那様そんな行儀ぎやうぎいことをして被在ゐらしつてはおめしれます、気味きみわるうございますよ、すつぱり裸体はだかになつておあらひなさいまし、わたしながしてげませう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ええ那様そんな事なら訳はないです。それじゃ明朝あしたかく行って、しらべてみて直しますが、そう云う事は長念寺の和尚おしょうところへも行って、次手ついでにおはなしなすったらいでしよう。
□本居士 (新字新仮名) / 本田親二(著)
もつと段々だん/″\話合はなしあつて見ると、五六さい時分じぶんにはおな長屋ながや一軒いつけんいた隣同士となりどうしで、なんでも一緒いつしよに遊んだ事も有つたらしいので、那様そんな事から一層いつそう親密しんみつつて、帰路かへりみちも同じでありましたから連立つれだつても帰る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いや、小説ばかりじゃない、一体の人生観という奴が私にゃ然う思えるんだよ……思えると云うと語弊があるが、那様そんな気がするのだ。どうも莫迦々々ばかばかしくてね。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かすり那様そんなでない、しまの方が、余計にきっぱりとしたのが、次第に、おなじまで、映る事になったと言います。ただ、神仏の前にぬかずく時、——ほかには何の仔細もなかった。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
引緊った感を起させる、起させぬの別と、人生に触れる、触れぬとの間にゃ大なるギャップが有りゃせんか。私はどうも那様そんな気がするね。触れる云々は形容詞に過ぎんように思う。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
那様そんなにございませんければうやつておはなしをなすつてくださいまし、さびしくつてなりません、本当ほんとにお可愧はづかしうございますが恁麼こんなやまなか引籠ひツこもつてをりますと、ものをいふこともわすれましたやうで
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)