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遂々
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とう/\
ふりがな文庫
“
遂々
(
とう/\
)” の例文
ともかくあの鸚鵡は、それから一年あまり、F一家が帰国する迄私の目ざわりだつたが、
遂々
(
とう/\
)
人間の言葉を唯の一言も覚えなかつた。
鸚鵡の思ひ出
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
遂々
(
とう/\
)
遠野は投げるやうにさう云つて、傍に黙つて聞いてゐる彼女の方へ笑ひかけた。然し彼女の視線は凍りついたやうに一つ処を動かなかつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
実は一人の女を
殺
(
あや
)
めて駈落したれど露顕して
追手
(
おって
)
がかゝり、片足
斯
(
か
)
くのごとく怪我をした故逃げ
遂
(
おお
)
せず、
遂々
(
とう/\
)
お縄にかゝって、永い間牢に居て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それから東京へ歸つて來て、或政治雜誌の記者になり、實業家の手代になり、
遂々
(
とう/\
)
新聞界に入つて、私の社へ來る迄に二つ、三つの新聞を歩いた。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
老年の父母が、自分が憤りの餘り、更に一層彼等から意地の惡い手段を以て苦しめられる事を氣づかふのを見てゐると、
遂々
(
とう/\
)
自分の方が弱くなつてしまつた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
▼ もっと見る
遂々
(
とう/\
)
世帯を疊むで了ふ、
芳坊
(
よしぼう
)
は川越の親類に預かツて貰ふ、母親は東京で奉公することになる、自分等は世帯を持つ工面の出來るまで越ケ谷に引込むことになツて
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
遂々
(
とう/\
)
、
變
(
かわ
)
りにかわつて、
足
(
あし
)
ができ、しつぽが
切
(
き
)
れて、
小
(
ちひ
)
さいけれど
立派
(
りつぱ
)
な
蛙
(
かへる
)
になりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
遂々
(
とう/\
)
今日などはFのやうに迷信的にさへなつて渚を駆けながら幾度も/\ Sweet Chanty ——を狂気の如く走り書いたりしたが
円卓子での話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
菊池君から四人目、
恰度
(
ちやうど
)
私と向合つて居て、藝妓を取次に二三度盃の献酬をした日下部君は、時々此方を見て居たが、
遂々
(
とう/\
)
盃を握つて立つて來た。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
所でもう
是
(
こ
)
りゃア水攻めにするより外に仕方が無いと云って、どん/\水を入れて見ると、下へ
脱
(
ぬ
)
けて
落
(
おち
)
る処が有るから
遂々
(
とう/\
)
水攻
(
みずぜめ
)
も無駄になって
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ま、
何處
(
どこ
)
まで
根性
(
こんじやう
)
がねぢくれてゐるのでせう。」と思ひながら、近子は
瞥
(
ちら
)
と白い眼を
閃
(
ひらめ
)
かせ、ブイと茶の間の方へ行ツて
了
(
しま
)
ツた。
遂々
(
とう/\
)
むかツ
腹
(
ぱら
)
を立てゝ
了
(
しま
)
ツたので。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「あゝこれは
遂々
(
とう/\
)
そんなところまで引張つて来たのだ!」さう考へながら道助は
故意
(
わざ
)
と
揶揄
(
からか
)
ふ様に
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
遂々
(
とう/\
)
、お
上
(
かみ
)
さんは
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てて、それをすつかり
裏
(
うら
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
にすてました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
遂々
(
とう/\
)
乗らないで、二人はそんなことを話しながら田畝道を歩いて行つた。ガウンを着せられたドリアンが、木馬のやうな姿で二人の間を歩いてゐた。
娘とドリアン
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
丁寧にむしって出すのを、
甘
(
うめ
)
え/\と喰うくらいの事じゃねえ、
余
(
あんま
)
り仲が
好過
(
よす
)
ぎてネ、
遂々
(
とう/\
)
赤ん坊が出来た
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『
遂々
(
とう/\
)
追出してやつた、ハハヽヽ。』と笑ひ乍ら座つたが、張合の拔けた樣な笑聲であつた。そして
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然し
暫
(
しばら
)
くさうして口もきかないでゐると、道助は何かしら淋しくなつて来た。で彼は
遂々
(
とう/\
)
銭入れの中から白く光る小つちやな鍵をとり出して彼女の膝の上に投げやつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
まご/\してゐるうちに、
遂々
(
とう/\
)
一平に
襟首
(
えりくび
)
を引ツ
攫
(
つか
)
まれて
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
狂人をいれたことのある座敷牢といふものがある家だ——といふことを私は、祖母だつたか母だつたかから聞いたことがあるが、私は
遂々
(
とう/\
)
それは見そこなつた。
海棠の家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
翌朝お繼は早く泊りを
立出
(
たちい
)
でゝ、
前
(
せん
)
申す巡礼と両側を流し、向うが
此方
(
こちら
)
へ来れば、此方が向側と云う廻り合せで、両側を流しながら
遂々
(
とう/\
)
福島を越して、
須原
(
すはら
)
という処に泊りましたが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
取つたよ。だから
辛
(
やつ
)
と外へ出て來て探したけれども、
遂々
(
とう/\
)
行方知れずさ。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二人は、一枚の肖像画を間にして何時までも争ひの言葉を続けてゐたが、
遂々
(
とう/\
)
久保は断念して
階段
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
來たら
冷評
(
ひやか
)
してやらうと思うとつたら、
遂々
(
とう/\
)
來なかつた。
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
終日
(
いちにち
)
部屋に引つ込んだきりで稀に訪れても彼は溜息ばかり
吐
(
つ
)
いてゐる、赤鬼のやうなあいつが青鬼になつて顔を顰めてばかりゐるかと思つてゐるうちに
遂々
(
とう/\
)
熱まで出した……。
鵞鳥の家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
私は、
遂々
(
とう/\
)
競馬場へ来てしまつた。
競馬の日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
遂
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
々
3画
“遂”で始まる語句
遂
遂行
遂事
遂得
遂次
遂良
遂高