おくり)” の例文
愚僧は好事ものずき——お行者こそ御苦労な。江戸まで、あの荷物をおくりと見えます。——武士さむらいは何とした、しんえて、手足が突張つっぱり、ことほか疲れたやうに見受けるな。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おくりけり偖又夫に引替上臺憑司は己があしきに心付ず之れ皆傳吉夫婦が有故にかゝる禍ひに逢たりと理もわかず傳吉に村役むらやくを取られしとて深くうらみ高田の役人へ手をまはし此うらみはらさんと種々工夫を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みだりおくり仮名を附して次の如く書き改めた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なげきのみ声を空へおおくりなさいます。3595
木立こだちを見れば沙門等しやもんら野邊のべおくりいとなみ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
野辺のおくりが済んで、七々四十九日というのに、自ら恥じて、それと知りつつ今までつい音信おとずれなかった姉者人あねじゃひと、その頃ある豪商の愛妾になっていたのが尋ねて来て、その小使こづかい
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おくりける或日兩國邊よりかへ途中とちうにはか夕立ゆふだち降來ふりきたはたゝがみ夥多敷おびたゞしく鳴渡なりわたれども雨具あまぐなければ馬喰町の馬場のわき出格子でがうしの有る家を幸ひに軒下のきした立停たちどまり我がたくも早二三町なれども歸ることかなはあめぬれて居るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
木立こだちを見れば沙門等しやもんら野辺のべおくりいとなみ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)