軍艦ふね)” の例文
新「海上さんはお世辞ものですよ、その口でうまく花魁を撫でこみ、血道をあげさせたんですね、ほんとに軍艦ふねの方は油断がならないわ」
もつとも一度、私の軍艦ふねでは、ナイフで腹を切つたのがゐたさうですが、これは死に切れない中に、発見されて命だけはとりとめたと云ふ事でした。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
武村兵曹たけむらへいそういまわたくしおなじやうに、この軍艦ぐんかん賓客ひんきやくではあるが、かれ軍艦ふねいへとする水兵すいへい——水兵すいへいうちにも氣象きしやうすぐれ、こと砲術ほうじゆつ航海術かうかいじゆつには際立きはだつて巧妙たくみをとこなので
あんたはツイこの頃来たんだから知らないでしょうけども、この間、此浦塩ここを引き上げて行った亜米利加アメリカの軍艦ね。あの軍艦ふねの司令官の息子でヤングっていうのが、その男なのよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
軍艦ふねつくるの、戦争いくさするのツて、税は増す物は高くなる、食ふの食へねエので毎日苦んで居るんだが、かつら大臣の邸など見りや、裏の土手へ石垣を積むので、まるで御城の様な大普請おほふしん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
軍艦ふねで送られ砲火の下に晒されよう
我等の春 (新字新仮名) / 今野大力(著)
それが、航海中、ウイルヘルムス、ハフエンへ入港する二日前に、艦長の時計を持つたなり、どこかへ行つてしまつたので、軍艦ふね中大騒ぎになりました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いま花魁の出ているは矢ッ張り軍艦ふねのお客で、今夜は二回うらをかえしにお出でなされたんでげすから、疎末そまつにはしない、しきりに一昨夜おとついのばん不勤ふづとめを詫していると、新造しんぞが廊下から
六尺位の背丈けの巨男おおおとこでね。まじめな、澄まアした顔をしていたわ。あの軍艦ふねの中でも一等のお金持ちで、一番の学者だって、取り巻きの士官や水兵さん達がそう云っていたから本当でしょうよ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この軍艦ふね排水はいすい噸數とんすう二千七百ばかり、二本にほん烟筒ゑんとうきはめて壯麗さうれいなる裝甲巡洋艦さうかうじゆんやうかんである。いましも波浪なみまれて、此方こなたまはりしその艦尾かんびには、赫々かく/\たる日輪にちりんてらされて「日の出」の三あざやかにまれた。
品川では軍艦ふねの方が大のお花客とくいでげすから、花里もその頃はまだ出たてゞはございますし、人々から注意をうけておろそかならぬ※待もてなしをいたしたので、海上も始終しょっちゅう通ってられましたが