踏掛ふみか)” の例文
が、考証はマダわずかに足を踏掛ふみかけたばかりであっても、その博覧癖と穿鑿せんさく癖とが他日の大成を十分約束するに足るものがあった。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
踏掛ふみかけ漸々としてつひに天井へ昇り其跡をいたにて元の如く差塞さしふさぎ先是では氣遣きづかひ無しと大いに安堵あんどなし息をこらして隱れ居たり斯る惡人なれども未だ命數めいすうつきざる所にや僧のなさけに依て危き命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まちはなれてから浪打際なみうちぎはまで、およそ二百もあつたはずなのが、白砂しらすなあし踏掛ふみかけたとおもふと、爪先つまさきつめたなみのさきにれたので、晝間ひるまてつなべ煮上にあげたやうなすなが、みなずぶ/″\にれて
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『はツ、』とふと一個ひとつちやう石高道いしだかみち石磈いしころ一本竹いつぽんだけ踏掛ふみかけた真中まんなかのが、カタリとあしおとてると、乗上のりあがつたやうに、ひよい、とたかつて、すぐに、ひよこりとまたおなたけ歩行あるす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
町を離れてから浪打際なみうちぎわまで、およそ二百歩もあった筈なのが、白砂しらすなに足を踏掛ふみかけたと思うと、爪先つまさきつめたく浪のさきに触れたので、昼間は鉄のなべで煮上げたような砂が、皆ずぶずぶにれて、ひやっこく
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)