西京さいきやう)” の例文
けれど皆祖父母や親達の口から、西京さいきやうと云ふ大きい都、美くしい都の話だけは聞いて居て、多少のあこがれを持つて居ない者はないのです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
西京さいきやう大坂おほさか芸妓げいこまゐつてりましたが、みな丸髷まるまげ黒縮緬くろちりめん羽織はおり一寸ちよつと黒紗くろしやれをひつけてりまして、様子やうす奥様然おくさまぜんとしたこしらへで
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
先頃さきごろ大阪おほさかよりかへりしひとはなしに、彼地かのちにては人力車じんりきしやさかんおこなはれ、西京さいきやう近頃ちかごろまでこれなきところ追々おひ/\さかんにて、四百六輌しひやくろくりやう伏見ふしみには五十一輌ごじふいちりやうなりとふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つれみつ折合ずそれがため志しばかりでのみ長旅はせず繪圖の上へよだれを垂して日を送りしが今度其の三ツ備はりたればいでや時を失ふべからず先づ木曾名所を探り西京さいきやう大坂を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
なんかと突倒つきたふして、なはから外へ飛出とびだ巡査じゆんさつままれるくらゐの事がございますが、西京さいきやうは誠にやさしい
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それから徐々そろ/\京都きやうとまゐ支度したくをしてりますうちに、新聞で見ましても、人のうはさを聞きましても、西京さいきやう旅籠屋はたごやは客が山をして、ミツシリつめも立たないほどだといふ事でございますから
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)