トップ
>
襖際
>
ふすまぎわ
ふりがな文庫
“
襖際
(
ふすまぎわ
)” の例文
退
(
さが
)
ってゆく
二十歳
(
はたち
)
足らずの小姓らしき者へ、使者の二人はしずかな眼をそそいでいる。
襖際
(
ふすまぎわ
)
の
作法行態
(
さほうぎょうたい
)
、平常と変りはない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲斐は中の間と境の
襖際
(
ふすまぎわ
)
に立停って、ちょっと不審そうに宇乃を見た。宇乃は眼をあげて微笑し、それから挨拶を述べた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
窓下の
襖際
(
ふすまぎわ
)
で
膳
(
ぜん
)
の上の
銚子
(
ちょうし
)
もなしに——もう時節で、塩のふいた
鮭
(
さけ
)
の切身を、
鱧
(
はも
)
の肌の白さにはかなみつつ、辻三が……
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
慎太郎がこう云いかけると、いつか
襖際
(
ふすまぎわ
)
へ来た看護婦と、小声に話していた叔母が
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と紺の
鯉口
(
こいぐち
)
に、おなじ幅広の前掛けした、
痩
(
や
)
せた、色のやや青黒い、陰気だが
律儀
(
りちぎ
)
らしい、まだ三十六七ぐらいな、五分刈りの男が丁寧に
襖際
(
ふすまぎわ
)
に
畏
(
かしこ
)
まった。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
襖際
(
ふすまぎわ
)
には、平伏している金森五郎八と不破彦三と、それに利家がいる。それだけしかここには見えぬ。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
登はぼんやりそう思っただけであるが、まさをとの盃が作法どおりに終ると、盃台や銚子をはこんで来た婦人が、ずっと向うの
襖際
(
ふすまぎわ
)
に両手を突いて、「おめでとうございます」と祝いの言葉を述べた。
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
次の間と隔ての
襖際
(
ふすまぎわ
)
……また柱の根かとも思われて、カタカタ、カタカタと響く——あの
茶立虫
(
ちゃたてむし
)
とも聞えれば、壁の中で
蝙蝠
(
こうもり
)
が鳴くようでもあるし、縁の下で、
蟇
(
ひきがえる
)
が
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
襖際
(
ふすまぎわ
)
に居並んでいる
奥仕
(
おくづか
)
えの女たち、ホホと
笑
(
え
)
んで珍しい殿の舞振りに眼をあつめた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と優しいのがツンと立って、
襖際
(
ふすまぎわ
)
に横にした三味線を邪険に取って、
衝
(
つ
)
と
縦様
(
たてざま
)
に引立てる。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小侍が息を
喘
(
き
)
って、次の
襖際
(
ふすまぎわ
)
でその時云った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中庭越に下座敷をきょろきょろと
眗
(
みまわ
)
したが、どこへ何んと見当附けたか、案内も待たず、元の二階へも戻らないで、とある
一室
(
ひとま
)
へのっそりと入って、
襖際
(
ふすまぎわ
)
へ、どさりとまた
胡坐
(
あぐら
)
になる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傍
(
かたわら
)
とも云ふまい。片あかりして、
冷
(
つめた
)
く薄暗い、其の
襖際
(
ふすまぎわ
)
から、氷のやうな
抜刀
(
ぬきみ
)
を提げて、ぬつと出た、身の
丈
(
たけ
)
抜群な男がある。
唯
(
と
)
、
間
(
なか
)
二三
尺
(
じゃく
)
隔てたばかりで、ハタと藤の局と
面
(
おもて
)
を合せた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
入交
(
いれかわ
)
って、歯を染めた、陰気な大年増が
襖際
(
ふすまぎわ
)
へ来て、
瓶掛
(
びんかけ
)
に炭を継いで、茶道具を揃えて銀瓶を掛けた。そこが水屋のように出来ていて、それから大廊下へ出入口に立てたのが
件
(
くだん
)
の金屏風。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、婀娜な目で、
襖際
(
ふすまぎわ
)
から
覗
(
のぞ
)
くように、友染の
裾
(
すそ
)
を
曳
(
ひ
)
いた櫛巻の立姿。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
襖
漢検準1級
部首:⾐
18画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“襖”で始まる語句
襖
襖子
襖越
襖絵
襖紙
襖側
襖障子
襖一重
襖地
襖画