トップ
>
藺
>
ゐ
ふりがな文庫
“
藺
(
ゐ
)” の例文
冬でも
藺
(
ゐ
)
の笠を被つて濱へ出て、餌を拾つて、
埠頭場
(
はとば
)
に立つたり
幸神潟
(
かうじんがた
)
の岩から岩を傳つたりして、一人ぼつちでよく
釣漁
(
つり
)
をしてゐた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
石の橋の上には、刈つた
藺
(
ゐ
)
が並べて干してあつて、それから墓地の柵までの
間
(
あひだ
)
は、笠のやうな
老松
(
らうしよう
)
が両側から
蔽
(
おほ
)
ひかゝつた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
池には葦が伸び蒲が
秀
(
ほ
)
き、
藺
(
ゐ
)
が抽んでる。遅々として、併し忘れた頃に、俄かに
伸
(
の
)
し上るやうに育つのは、蓮の葉であつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
されば行け、汝一
本
(
もと
)
の滑かなる
藺
(
ゐ
)
をこの者の腰に
束
(
つか
)
ねまたその顏を洗ひて一切の
汚穢
(
けがれ
)
を除け 九四—九六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
(
舞踏室
(
ぶたふしつ
)
又
(
また
)
は
客室
(
きゃくしつ
)
の
床上
(
ゆかうへ
)
に
刈
(
か
)
り
集
(
あつ
)
めたるばかりの
燈心草
(
とうしんぐさ
)
(
藺
(
ゐ
)
)を
敷
(
し
)
きしは
當時
(
たうじ
)
の
上流
(
じゃうりう
)
の
習
(
なら
)
はしなり。)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
どつしりとした古風な石燈籠が一つこの池の水に臨んで、その邊には圓く厚ぽつたい「つはぶき」も多く集めてあつた。前手の
汀
(
みぎは
)
のところに見える
藺
(
ゐ
)
、あやめなぞの感じもよい。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
川の西岸にうち開けて、ひたひたに水をたゝへてゐる廣田には何やら
藺
(
ゐ
)
の樣なものがいちめんに植ゑ込んである。乘合の婦人に尋ぬると、あれはルイキユウですとのことであつた。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
左の手に乏しくなつたじんきを繼ぎ足さうとして、手さぐりでじんきの束を求めたが、指先きに當るのは、古疊の
藺
(
ゐ
)
のほつればかりなので、やツと眼が覺めた風で
四邊
(
あたり
)
を見𢌞したが
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「畳の表には
藺
(
ゐ
)
をするのぢやないか。燈心草も畳の表になるのかい」
斑鳩物語
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
日輪寺は今の淺草公園の活動寫眞館の西で、昔は東南共に
街
(
まち
)
に面した角地面であつた。今は薪屋の横町の
衝當
(
つきあたり
)
になつてゐる。寺内の墓地は半ば水に浸されて
沮洳
(
しよじよ
)
の地となり、
藺
(
ゐ
)
を生じ
芹
(
せり
)
を生じてゐる。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しよろしよろ水に
藺
(
ゐ
)
のそよくらん 兆
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
藺
(
ゐ
)
を
席
(
むしろ
)
とし、日光を敷石としたる
室
(
へや
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
それは大したものではなかつたけれども、水草だの、芦だの、
藺
(
ゐ
)
だのがしげつてゐて、この山の中に、ちよつと水郷を思はせるやうな趣を示してゐた。
夏
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
聞けばこれは琉球から取り寄せた
藺
(
ゐ
)
ださうで、それを土地の人はルイキユウと呼び、稻よりもこれを作る者が多くなつてゐるさうだ。疊表其他の材料として支那の方にも行くといふ。
梅雨紀行
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
この邊には、麻、
藺
(
ゐ
)
などの畑も多い。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
羊齒
(
しだ
)
の匂、
藺
(
ゐ
)
の匂がする。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
田の境の
溝
(
どぶ
)
には
藺
(
ゐ
)
がツンツン出て、雑草が網のやうに茂つてゐた。見て
居
(
ゐ
)
ると街道には車が通る、馬が通る、
児
(
こ
)
をたゞ
負
(
おん
)
ぶした田舎の
上
(
かみ
)
さんが通る、
脚絆
(
きやはん
)
甲
(
かふ
)
かけの旅人が通る。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
“藺(イグサ)”の解説
イグサ(藺草、イ草、Juncus decipiens)は、単子葉植物イグサ科の植物である。標準和名はイ(藺。「イグサ」を使うこともある)。最も短い標準和名としても知られている。別名:トウシンソウ(燈芯草)。畳表を作るのに使われる。俳句では夏(仲夏)の季語とされる。
(出典:Wikipedia)
藺
漢検1級
部首:⾋
19画
“藺”を含む語句
藺草
藺笠
綾藺笠
藺席
藺莚
太藺
藺筵
藺相如
藺編
馬藺
青藺
青太藺
藺金剛
藺蓆
大藺草
藺草履
平藺笠
藺仁
沼藺
藺笠姿
...