蓮花れんげ)” の例文
化度けどしたいというのが、即ち仏菩薩なので、何も蓮花れんげの上にゆったり坐って百味の飲食おんじきくらこうとしているのが仏菩薩でも何でも無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
佞人ねいじん楊再思が追従して、人は六郎の貌蓮花れんげに似たりと言うが、正に蓮花が六郎に似たるのみといったとあるに似た牽強じゃ。
真菰まこも精霊棚しょうりょうだな蓮花れんげの形をした燈籠とうろうはすの葉やほおずきなどはもちろん、珍しくもがまの穂や、べに花殻はながらなどを売る露店が
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私は妹と向きあってなんのかのとかまいながらやっとのことで蓮花れんげとだまし舟を折った。ここにあるひとたばの折紙はなつかしいそのおりの残りである。
折紙 (新字新仮名) / 中勘助(著)
第一、目録が目線であります。下総しもうさが下綱だったり、蓮花れんげよもぎの花だったり、鼻がになって、腹がえのきに見える。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その蓮花れんげくるあさ天子てんしさまが御覧ごらんになって、そこに橘寺たちばなでらというおてらをおてになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
肥桶のたがを黄金で造ると言うたそうであるが、天国もそのとおりで、エスキモーの天国にはにしきのごときアザラシが泳いでい、インドの天国には車輪のような蓮花れんげが咲いている。
我らの哲学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
雲母襖きらぶすまに紅白の蓮花れんげが描いてある仏間のすそに沿うて、勝家以下、ひそと着席した。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太液たいえきの池の蓮花れんげにも、未央宮びおうきゅうの柳の趣にもその人は似ていたであろうが、またからの服装は華美ではあったであろうが、更衣の持った柔らかい美、えんな姿態をそれに思い比べて御覧になると
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
日をこめて見れば涙もとどまらずあかあかと石に蓮花れんげ描きてゐる
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私は妹と向きあってなんのかのとかまいながらやっとのことで蓮花れんげとだまし舟を折った。ここにあるひとたばの折紙はなつかしいそのおりの残りである。
小品四つ (新字新仮名) / 中勘助(著)
インドで女をその身の香臭で四等に別つ。最上は蓮花れんげ、その次は余の花、次は酒、次は魚だ(一八九一年版、ラ・メーレッス仏訳『カマ・ストラ』一四頁)
皓歯しらはでその、足袋の紐に口紅の附いたのを見て、晩方の土の紺泥こんでいに、真紅の蓮花れんげが咲いたように迷出して、大堕落をしたと言う、いずれ堕落して還俗だろうさ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
またあるとき太子たいし天子てんしさまの御前ごぜんで、勝鬘経しょうまんきょうというおきょう講釈こうしゃくをおはじめになって、ちょうど三日みっかめにおきょうがすむと、そらの上から三じゃくはばのあるきれいな蓮花れんげって
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あかあかと蓮花れんげ描くとて描きゐたり我も蓮花と見てゐたりけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
睡眠ねぶりさめておのづと目あくたまゆらは蓮花れんげ声して開くかに思ふ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)