“れんげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
蓮華79.1%
蓮花15.1%
紫雲英3.5%
睡蓮1.2%
蓮華草1.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
芋の葉の形をした錦の帽子もうすを冠った僧正が列の中に出て来て、紙の蓮華れんげを足場の上から右へ左へときます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
東の隅の小壁に描かれた菩薩ぼさつの、手にしている蓮華れんげに見入っていると、それがなんだか薔薇ばらの花かなんぞのような、幻覚さえおこって来そうになるほどだ。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
ただ、地獄の鬼やかまの話、極楽の蓮華れんげや音楽の話は道理以外のことにして、もし宗教外よりこれをみれば、苦楽の状態を形容したるに過ぎざることになります。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
極楽国土にある八つの池の一々には、六十億の七宝しっぽう蓮華れんげがあり、一々の蓮華は真円で四百八十里の大きさを持っている。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ところでわれわれ近代の人間にとっては極楽の蓮華れんげの上の昼寝よりはのあたりに見る処の地獄の責苦せめくの方により多くの興味を覚えるのである。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
太液たいえきの池の蓮花れんげにも、未央宮びおうきゅうの柳の趣にもその人は似ていたであろうが、またからの服装は華美ではあったであろうが、更衣の持った柔らかい美、えんな姿態をそれに思い比べて御覧になると、これは花の色にも鳥の声にもたとえられぬ最上のものであった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
弥陀の四十八願、観音の三十三身、何様な苦労をしても、何様なものに身を為しても、一切世間を善くしたい、救いたい、化度けどしたいというのが、即ち仏菩薩なので、何も蓮花れんげの上にゆったり坐って百味の飲食おんじきくらこうとしているのが仏菩薩でも何でも無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
真菰まこも精霊棚しょうりょうだな蓮花れんげの形をした燈籠とうろうはすの葉やほおずきなどはもちろん、珍しくもがまの穂や、べに花殻はながらなどを売る露店が、この昭和八年の銀座のいつもの正常の露店の間に交じって言葉どおりに異彩を放っていた。
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ある農夫は、もしもオレが王様になったら、肥桶のたがを黄金で造ると言うたそうであるが、天国もそのとおりで、エスキモーの天国にはにしきのごときアザラシが泳いでい、インドの天国には車輪のような蓮花れんげが咲いている。
我らの哲学 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
睡眠ねぶりさめておのづと目あくたまゆらは蓮花れんげ声して開くかに思ふ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「お心がございましたら、一文でも二文でも、地蔵堂の建立に御寄進ねがいます。——私の死ぬまでに、それがどこかの紫雲英れんげの原に、ささやかな一宇の愛の御堂となれば、私は、その原の白骨となって御守護いたします。はい、一人でも二人でも、世の親御様たちに、私の心が届けば、それで本望なのでございます」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おゝい、おゝい、母屋おもやつどへる人數にんずには、たらひたゞ一枚いちまいおほいなる睡蓮れんげしろはなに、うつくしきひとみありて、すら/\とながりきとか。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
千曲川の岸に蓮華草れんげが咲き、姥捨うばすて山の山つづきに百鳥ももとりさえずりを交わすようになると、向かい合った稲荷山と篠井の里とは、薄紫の春霞はるがすみに朝と晩とを化粧され、里人の顔にもカラリとした長閑のどかな光が浮かんで見える。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)