紫雲英れんげ)” の例文
私の死ぬまでに、それがどこかの紫雲英れんげの原に、ささやかな一宇の愛の御堂となれば、私は、その原の白骨となって御守護いたします。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それどころか、彼は、いわば、高く澄みきった暁の星を、咲きさかる紫雲英れんげ畑の中からでも仰ぐような気持で、二人の思い出にひたることが出来たのである。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
腕の中にすみれ紫雲英れんげ苜蓿うまごやしや、そういうつつましい野の花を抱き、なにかいいかけるように前のほうへすこし首を傾けて立っていますが、それはリュウベンスの描いたあのオフィーリヤの顔ではなく
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「心蓮殿、地蔵堂の地は、この辺がよろしいのう。今は、満目の雪でござるが、春ともなれば、紫雲英れんげ、菜の花、里の子供の遊び場にもようござる」
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)