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葬
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はう
聞つけ
尋ね來り見れば娘の澤の井と
嬰孩の
死骸に取付樣々の
謔言を
言立狂氣の如き有樣なれば
種々賺し
宥め
兩人の
死骸を
光照寺といふ一
向宗の寺へ
葬むりしがお三婆は
狂氣なし
種々の事を
金を
腹ん
中い
入れちまつてモウ
誰にも取られる
気遣がないから安心して死んだのだが
何うも
強慾な
奴もあつたもんだな、
是が
所謂有財餓鬼てえんだらう、
何しろ
此儘葬むつて
了ふのは
惜いや
致し候に
翌年三月
安産せしが其夜の中に
小兒は
相果娘も
血氣上りて是も其夜の
曉に死去致し候に付き
近邊の者共
寄集り相談するも
遠國者故
菩提所も
無依て私しの寺へ頼み
葬むり遣し候其後お三婆は
狂氣致し
若君樣を
葬ぶりし寺は當村なりやと
尋ぬるに向ふに見え候山の
麓にて
宗旨は一
向宗光照寺と申し候と
聞て然らば其
節の
住持は未だ
存命致し居やと有に
參候其節の住持
祐然と申すは未だ
壯健に候と答へける
吉田三五郎
然ば光照寺
住持祐然を