らく)” の例文
今は隱退いんたいしてゐる小菅けんすけろうだん關根せきね金次郎名人にむかつて、としをとるとらく手がありちになる。らく手があるやうでは名手とは言へぬ。
若し我をもとむるものならば奈何せん。われは巨巖の如くに我前に在る「コリゼエオ」にかくれたり。われは猶きのふらくしたる如き重廊の上に立てり。こゝは暗くしてまたひやゝかなり。
其時そのときうらやまむかふのみね左右さいう前後ぜんごにすく/\とあるのが、一ツ一ツくちばしけ、かしらもたげて、の一らく別天地べツてんち親仁おやぢ下手したでひかへ、うまめんしてたゝずんだ月下げツか美女びぢよ姿すがた差覗さしのぞくがごと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明治二十四年には保は新居を神田仲猿楽町五番地にぼくして、七月十七日に起工し、十月一日にこれをらくした。脩は駿河国駿東郡すんとうごおり佐野さの駅の駅長助役に転じた。抽斎歿後の第三十三年である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
恐い顔をしているけれど、仲々らいらくな男と見えます。
盗難 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
幸に外國とつくにの一畫師ありてこゝを過ぎ、柱尖の僅に露出せるを見、その美を喜びて寫し歸りしより、世の人こゝに注目し、終に棘を刈り土を掘りて、此の宏壯なる柱堂の、新にらくせるものゝ如く