落涙らくるゐ)” の例文
物語ものがたりき、此像このざうはいするにそゞろに落涙らくるゐせり。(りやく)かくてたる小堂せうだう雨風あめかぜをだにふせぎかねて、彩色さいしき云々うん/\
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
感じて思はず落涙らくるゐ仕り如何にも彦兵衞には有之これあるまじ外に人殺ありと申たるに相違さうゐ御座なく候と申ければ大岡殿聞給ひさらば馬喰町米屋市郎左衞門伯母をばころし金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
落涙らくるゐす、蒼白あをじろに。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わしかしこまつててるとひざをついたツきりうしてもかほげて其処そこ男女ふたりることが出来できぬ、なにむねがキヤキヤして、はら/\と落涙らくるゐした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見るに寶永二年三月十五日の夜こく出生しゆつしやうしるありければ指折算ゆびをりかぞへ見るに當年ちやうど十一歳なりわすれもせぬ三月十五日の夜なるがお三婆はしきり落涙らくるゐしテモ御身は仕合しあはせ物なりとて寶澤がかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見られ澘々はら/\落涙らくるゐせられ此方はよき家來を持て滿悦まんえつに思ふなり三人の忠節ちうせつ心體見えて忝けなし去りながら我深き存意も有ればひそかに申聞すべし近ふ/\と三人を側近そばちかくこそ進ませたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)