華燭かしょく)” の例文
結納ゆいのうならびに華燭かしょくの典の次第に就き電報をもって至急の依頼を受けましたが、ただちに貴門を訪れ御相談申上げたく、ついては御都合よろしき日時
佳日 (新字新仮名) / 太宰治(著)
オオそうだ、その吉日は百日目、今日からかぞえて八十日目の夜をもって、きっと、華燭かしょくてんをあげることにいたそう。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
池田 (そっと森を小突いて)それを税所が、めでたく中原の鹿を射て、この春いよいよ華燭かしょくの典を挙げた時には、なあ森、白状するが、少々けたなあ。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
が、いたずらに責めるばかりで、何一つ然るべき処置も取らない内に、残暑はまた朝寒あささむに移り変って、とうとう所謂いわゆる華燭かしょくの典を挙げる日も、目前に迫ったではございませんか。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
華燭かしょくの典を挙げたと報じ、米国アメリカトラスト大王のせがれモルガン氏は、その恋花嫁のお雪夫人をつれて、昨日の午前九時五十二分新橋着の列車で横浜から上京したと書いているが
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この少女こそは、前回に御紹介致しました本事件の主人公、呉一郎の花嫁となって、華燭かしょくてんを挙げるばかりに相成っておりましたその少女で、名前をくれモヨ子と申します。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
逢うが別れの今世こんじょうに、臨終いまわのなごりをおしむため、華燭かしょく銀燈輝いて、見返る空に月のごとき、若竹座を忍んで出た、慈善市バザアの光を思うにつけても、横町の後暗さは冥土よみじにもまさるのみか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがて病癒えたる後は華燭かしょくの典を挙げ、エフィゲニウス家の相続者として当地一の荘園を支配し、六百七十人に余るエフィゲニウス家召使奴隷の主人たるべく約束せられし身であるだけに
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
北条家の両親ふたおやをはじめ、一門の縁者と、山木家の一族とが、ふた側に分れて、広い華燭かしょくにひそと居ながれていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ洩れてくる虫の音と夜風に、短檠たんけいの灯はほのかにたえずうごいている。そしてちり一つない婚礼の席は、華燭かしょくという文字には当嵌あてはまらないほど仄暗ほのぐらかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わけても、新婦は、まだ華燭かしょくのかがやきのせない金色こんじき釵子さいしを黒髪にし、いつぎぬのたもとは薫々くんと高貴なとめの香りを歩むたびにうごかすのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「天子の華燭かしょくの式典は一ヵ年、諸侯ならばそのあいだ半年、武士諸大夫は一季、庶民は一ヵ月」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことを一度盛大な華燭かしょくをもって披露するも急務なりと考えられて来た。その結果、れて輿入こしいれをとにわかに、お市御料人の北ノ庄入りの盛儀が運ばれ出していたのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも、当夜の華燭かしょくから七日七夜にもわたる招宴や賀車がしゃの往来の生きた絵巻を繰るにもまさ典雅婉麗てんがえんれい盛事せいじは、藤原氏の栄えたころにも稀れなくらいであろうとさえいわれた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すっかりきまると、聟の君は、いたちの道を切ったように、絶えて姿も見せなかったが、いよいよ八月の三日という吉日、浅野家の長屋に、華燭かしょくの典は挙げられることになった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
華燭かしょく祝典しゅくてんは、血の祭典に変じて、布告ふこくなしの戦争状態にはいった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとよりこれから華燭かしょくの下に、花嫁とまみえる身の聟殿として、退屈など覚えるわけもないが、それにしても彼は、いつのまにやら、その聟の身であることは忘れて、あらぬ空想に、その久しい間を
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、もちろんその華燭かしょくてんは、いとも質素に行われた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)