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老杉
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ろうさん
ふりがな文庫
“
老杉
(
ろうさん
)” の例文
見ずや、上野の
老杉
(
ろうさん
)
は黙々として語らず訴へず、独りおのれの命数を知り
従容
(
しょうよう
)
として
枯死
(
こし
)
し行けり。無情の草木
遥
(
はるか
)
に
有情
(
ゆうじょう
)
の人に
優
(
まさ
)
るところなからずや。
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
有名な
蛇橋
(
じゃばし
)
の伝説に昔をしのびながら、大谷川のささやきをあとにして、
老杉
(
ろうさん
)
昼なお暗い
長坂
(
ながさか
)
をのぼりますと、
神輿旅所
(
みこしたびしょ
)
として知られる
山王社
(
さんのうしゃ
)
がある。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
十幾棟の大伽藍を囲んで、
矗々
(
ちくちく
)
と天を摩している
老杉
(
ろうさん
)
に交って、
栃
(
とち
)
や
欅
(
けやき
)
が薄緑の水々しい芽を吹き始めた。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
見渡す限り果知らぬ
老杉
(
ろうさん
)
の大森林は、むら雲のモクモクと湧上る形で、枝に枝を交え、葉に葉を重ね、
日向
(
ひなた
)
は
黄色
(
こうしょく
)
に輝き、蔭は深海の水の様にドス黒く淀んで
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この小屋の上にそびえた美しい
老杉
(
ろうさん
)
までがそのために物すごく恐ろしく無気味なものに感ぜられた。なんのためにわざわざこんなものが作ってあるのか全くわからない。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
頂上まで
殆
(
ほとん
)
ど一直線に付けられた
巌石
(
がんせき
)
の道で、西側には
老杉
(
ろうさん
)
亭々
(
ていてい
)
として昼なお暗く、なるほど道の険しい事は数歩
前
(
さき
)
の
巌角
(
いわかど
)
の胸を突かんばかり、胸突き八丁の名も
道理
(
ことわり
)
だ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
関
(
せき
)
の
明神
(
みょうじん
)
の
頂
(
いただき
)
は、
無明
(
むみょう
)
の
琵琶
(
びわ
)
を抱いて、ここに世を避けていたという、
蝉丸道士
(
せみまるどうし
)
の秘曲を山風にしのばせて、
老杉
(
ろうさん
)
空をかくし、
苔
(
こけ
)
の花を踏む人もない
幽寂
(
ゆうじゃく
)
につつまれている。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それで虎が上野の
老杉
(
ろうさん
)
の葉をことごとく振い落すような勢で鳴くでしょう。物凄いでさあ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
本坊の前から
炊谷
(
かしきだに
)
へかけて
森々
(
しんしん
)
たる
老杉
(
ろうさん
)
の中へ
駕籠
(
かご
)
が進んで行く時分に、さきほどから小止みになっていた雨空の一角が破れて、そこから、かすかな月の光が洩れて出でました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
深々と山を
掩
(
おお
)
った昼なお暗い
老杉
(
ろうさん
)
がいつ来て見てもザワザワと揺れ立っていた。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
見ずや、上野の
老杉
(
ろうさん
)
は黙々として語らず訴へず、
独
(
ひと
)
りおのれの命数を知り
従容
(
しょうよう
)
として
枯死
(
こし
)
し行けり。無情の草木
遥
(
はるか
)
に
有情
(
ゆうじょう
)
の人に
優
(
まさ
)
るところなからずや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
清水寺
(
せいすいじ
)
が峰ふところに
建立
(
こんりゅう
)
されても、このあたりは夜に入ると、
怪鳥
(
けちょう
)
の羽ばたきを聞くような淋しさである。
老杉
(
ろうさん
)
の上に、夕月を見た。やぶ蚊が襲ってくる。通る僧侶もない。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遼陽大会戦の舞台へ走って、一人の士官人形を岩のうしろに隠し、その外套を
剥
(
は
)
いで、女士官になりすまし、清玄庵室の前の、
老杉
(
ろうさん
)
の木立に身を潜めて、賊を監視していたのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがて小高い岡に仰がれたのは、
老杉
(
ろうさん
)
参差
(
しんし
)
として神さびた
湯前
(
ゆまえ
)
神社の石段であります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵は、満身の力で、自分の身を
縛
(
いまし
)
めている
老杉
(
ろうさん
)
の梢をゆさゆさうごかしていう。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“老杉”の意味
《名詞》
老杉(ろうさん)
生えてから長い年月を経た杉の木。
(出典:Wiktionary)
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
杉
常用漢字
中学
部首:⽊
7画
“老”で始まる語句
老
老人
老爺
老婆
老耄
老舗
老獪
老母
老婢
老女