トップ
>
縛
>
いましめ
ふりがな文庫
“
縛
(
いましめ
)” の例文
「捕われるのですとも。縄が新しくなると、当分当りどころが違うから、
縛
(
いましめ
)
を感ぜないのだろうと、僕は思っているのです」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼すなはち答へて曰ふ、汝はこゝより近き處にアンテオを見ん、彼語るをえて身に
縛
(
いましめ
)
なし、また我等を凡ての罪の底におくらん 一〇〇—一〇二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
胸をせめて袖を
襲
(
かさ
)
ねた状は、慎ましげに床し、とよりは、
悄然
(
しょうぜん
)
と細って、何か目に見えぬ
縛
(
いましめ
)
の八重の縄で、風に
靡
(
なび
)
く弱腰かけて、ぐるぐると巻かれたよう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
菊之丞としては出來ないことが三太郎として出來るやうになつたのである。——併し之は
縛
(
いましめ
)
の繩が少し緩んだ位に過ぎない。三太郎は更に一層の自由を望んでゐる。
三太郎の日記 第一
(旧字旧仮名)
/
阿部次郎
(著)
来
(
こ
)
ん年の夏の炎熱が、あの日本北アルプスの
縛
(
いましめ
)
の、白い鎖を寸断して、自由に解放するまで、この山も、石は転び次第、雲は飛び放題、風は吹き
荒
(
すさ
)
ぶなりに任せて
雪中富士登山記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
急いで駈付けると、パータリセは
縛
(
いましめ
)
をすっかり脱し、巨漢ラファエレにつかまえられている。必死の抵抗だ。五人がかりで取抑えようとしたが、狂人は物凄い力だ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
殊に夜風が
一下
(
ひとおろ
)
しして、煙が向うへ靡いた時、赤い上に金粉を撒いたやうな、焔の中から浮き上つて、髮を口に噛みながら、
縛
(
いましめ
)
の鎖も切れるばかり身悶えをした有樣は
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
縛られる時か、縛られた後、
縛
(
いましめ
)
をとろうともがいた為か、両手首の皮膚に擦過傷が見られ、なお咽喉にまきつけられた紐の為に、その皮膚にもいくらかかすり傷が認められました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
然るにこの狭苦しい冷たい一室では、夫は恐ろしい罪名の許に背後に
縛
(
いましめ
)
の縄を打たれて、悔悟の涙に咽び、妻は
褥
(
しとね
)
さえない板敷に膝を揃えて坐ったまゝ、不遇な運命に泣いているのだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
伊右衛門はいきなり小平を引きずり出して、
縛
(
いましめ
)
を解き猿轡を
除
(
と
)
った。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
五月の夜石舟にゐて思へらく湯の大神の
縛
(
いましめ
)
を受く
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
泉原は素早く
馳寄
(
かけよ
)
って女の
縛
(
いましめ
)
を解いた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
さあ、これで宝の
縛
(
いましめ
)
を解く時が来た。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
因襲というのは、その
縛
(
いましめ
)
が本能的で、無意識なのです。新人が道徳で縛られるのは、同じ
縛
(
いましめ
)
でも意識して縛られるのです。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
殊に夜風が
一下
(
ひとおろ
)
しして、煙が向うへ靡いた時、赤い上に金粉を
撒
(
ま
)
いたやうな、焔の中から浮き上つて、髪を口に噛みながら、
縛
(
いましめ
)
の鎖も切れるばかり身悶えをした有様は
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と一生懸命、
裳
(
もすそ
)
を乱して
遁
(
に
)
げ出づれば、
縛
(
いましめ
)
の縄の端を踏止められて
後居
(
しりい
)
に倒れ
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下界の
縛
(
いましめ
)
を遁れて
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
それはこれまで抑え抑えて来た慾望の
縛
(
いましめ
)
を解く第一歩を踏み出そうと云う、
門出
(
かどで
)
のよろこびの意味で、
tête-à-tête
(
テタテト
)
はそれには第一要件になっていた。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「私は
鐵
(
くろがね
)
の
鎖
(
くさり
)
に
縛
(
いましめ
)
られたものを見た事がございまする。怪鳥に惱まされるものゝ姿も、
具
(
つぶさ
)
に寫しとりました。されば罪人の呵責に苦しむ樣も知らぬと申されませぬ。又獄卒は——」
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下女が
鰻飯
(
うなぎめし
)
の
丼
(
どんぶり
)
を運び出す。方々で話声はちらほら聞えて来るが、その話もしめやかである。自分自分で考えることを考えているらしい。
縛
(
いましめ
)
がまだ解けないのである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「私は
鉄
(
くろがね
)
の
鎖
(
くさり
)
に
縛
(
いましめ
)
られたものを見た事がございまする。怪鳥に悩まされるものゝ姿も、
具
(
つぶさ
)
に写しとりました。されば罪人の
呵責
(
かしやく
)
に苦しむ様も知らぬと申されませぬ。又獄卒は——」
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
古賀の獣は縛ってあるが、おりおり
縛
(
いましめ
)
を解いて暴れるのである。しかし古賀は、あたかも今の紳士の一小部分が自分の家庭だけを清潔に保とうとしている如くに、自分の部屋を神聖にしている。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“縛”の意味
《名詞》
(バク)罪人をしばること。しばるなわ。
(出典:Wiktionary)
縛
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“縛”を含む語句
捕縛
呪縛
繋縛
引縛
束縛
金縛
緊縛
縛著
纏縛
棒縛
蹈縛
縛付
地縛
自縄自縛
就縛
喰縛
咒縛
魅縛
縛引
縛繩
...