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綯
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よ
ふりがな文庫
“
綯
(
よ
)” の例文
子守りの家では、亭主に死なれた母親が、
棕櫚縄
(
しゅろなわ
)
などを
綯
(
よ
)
って、多勢の子供を育てていた。お銀はその家の惨めな様子をよく知っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いたずらに自尊の念と
固陋
(
ころう
)
の
見
(
けん
)
を
綯
(
よ
)
り合せたるごとき
没分暁
(
ぼつぶんぎょう
)
の
鞭
(
むち
)
を振って学生を精根のつづく限りたたいたなら、見じめなのは学生である。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お多福め、苦しがりやがって俥屋の尻が何だとか……はははは、腹の皮を
綯
(
よ
)
らしやがった。だが、そう見られるほど意気に出来てりゃしようがねえ
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
脚の下の深い谷底では、真青な
瀞
(
とろ
)
が幾筋かの太い水脈を
綯
(
よ
)
り合せ綯り戻して、渦を巻きながら押し黙って流れている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「油ばかりお前のものであれば本を読んでもよいと思っては違う、お前の時間も私のものだ。本を読むなどという馬鹿なことをするならよいからその時間に縄を
綯
(
よ
)
れ」
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
風はどこからか二筋に
綯
(
よ
)
れて来たのが、急に
擦違
(
すれちがい
)
になって
唸
(
うな
)
るような怪しい音を立てて、また
虚空遥
(
こくうはるか
)
に
騰
(
のぼ
)
るごとくに見えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
叔母の健康が、また
綯
(
よ
)
りが戻ったように悪い方へ引き戻されて来た。暮から春へかけての叔父の一身の動揺が、一家の人々にも差し響きを起さずにはいなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
平岡は
口
(
くち
)
を
結
(
むす
)
んだなり、容易に返事をしなかつた。代助は苦痛の
遣
(
や
)
り
所
(
どころ
)
がなくて、両手の
掌
(
たなごゝろ
)
を、
垢
(
あか
)
の
綯
(
よ
)
れる程
揉
(
も
)
んだ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分では腕に
綯
(
よ
)
りをかけている気であった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
雨滴
(
あまだれ
)
の
絶間
(
たえま
)
を
縫
(
ぬ
)
うて、白い爪が幾度か
駒
(
こま
)
の上を飛ぶと見えて、
濃
(
こまや
)
かなる調べは、太き糸の
音
(
ね
)
と細き音を
綯
(
よ
)
り合せて、代る代るに乱れ打つように思われる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御承知でもあらっしゃろうがなかなか玉を磨ったり針金を
綯
(
よ
)
ったりするような
容易
(
たやす
)
いものではなかったのでがすよ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すこぶる
愉快
(
ゆかい
)
だ。山嵐の証明する所によると、かんじん
綯
(
よ
)
りを二本より合せて、この力瘤の出る所へ巻きつけて、うんと腕を曲げると、ぷつりと切れるそうだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
爺さんは笑いながら腰から浅黄の
手拭
(
てぬぐい
)
を出した。それを
肝心綯
(
かんじんより
)
のように細長く
綯
(
よ
)
った。そうして
地面
(
じびた
)
の真中に置いた。それから手拭の
周囲
(
まわり
)
に、大きな丸い輪を
描
(
か
)
いた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
隙間
(
すきま
)
なく
渋
(
しぶ
)
の
洩
(
も
)
れた
劈痕焼
(
ひびやき
)
に、二筋三筋
藍
(
あい
)
を流す波を
描
(
えが
)
いて、
真白
(
ましろ
)
な桜を気ままに散らした、
薩摩
(
さつま
)
の
急須
(
きゅうす
)
の中には、緑りを細く
綯
(
よ
)
り込んだ
宇治
(
うじ
)
の葉が、
午
(
ひる
)
の湯に
腐
(
ふ
)
やけたまま
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
命のあるうちにとまた旧稿に向って見たが、
綯
(
よ
)
る
縄
(
なわ
)
は遅く、逃げる泥棒は早い。何一つ見やげも置かないで、消えて行くかと思うと、熱さえ余計に出る。これ一つ
纏
(
まと
)
めれば死んでも
言訳
(
いいわけ
)
は立つ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
代助は苦痛の遣り所がなくて、両手の
掌
(
たなごころ
)
を、
垢
(
あか
)
の
綯
(
よ
)
れる程
揉
(
も
)
んだ。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
綯
漢検1級
部首:⽷
14画
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綯交
綯総
令狐綯
綯索
縄綯
肝心綯
観世綯