トップ
>
素面
>
しらふ
ふりがな文庫
“
素面
(
しらふ
)” の例文
殆んど
素面
(
しらふ
)
で、
艫
(
とも
)
からこの狂態をヂツと見詰めて居る貫兵衞の冷たい顏には不氣味なうちにも、妙に自信らしいものがあつたのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
マクシムの命を救ったのは彼の沈着で豪毅な気性と
素面
(
しらふ
)
であったことであった。この椿事のためにマクシムは七週間も患った。
マクシム・ゴーリキイの伝記:幼年時代・少年時代・青年時代
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ポルト葡萄酒
★
の匂いをぷんぷんさせて、全くの
素面
(
しらふ
)
とは見えないカートン氏は、この時笑い声を立てて、ダーネーの方へ振り向いた。——
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
あんた方はわっしらがみんなほろ酔い加減だったと思ってるかも知れねえ。だが、わっしは確かに
素面
(
しらふ
)
でしたぜ。ただえらく疲れてただけでさ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
平常
素面
(
しらふ
)
の意識では出來ないことが、所謂酒の力を借りて出來るところに、飮んだくれ共のロマンチックな飛翔がある。
酒に就いて
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
「いいえとんでもない
素面
(
しらふ
)
ですよ」こちらは証拠を見せるために顔を前方へつきだした、それから景気よく話を続けた
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『孤高な態度だけは失いたくありませんね。』『高邁の精神を喚起して死ぬ気でやりましょう。』先生にあっては
素面
(
しらふ
)
は即ちそのまま陶酔状態だ。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
例えば、酔っ払って何か過失か罪を犯すと、
素面
(
しらふ
)
でやった時よりも重く罰せられる。少なくも皆の心証を悪くする。
知られざるアメリカ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
で、仲間の者たちが言ったように、酔っ払っている時にはマストの先の吹流しにできそうだったし、
素面
(
しらふ
)
の時には
第二斜檣
(
ジブ・ブーム
)
5
の代りになりそうだった。
ペスト王:寓意を含める物語
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
酔っている時の桂子は、決してリリーなぞに負けるような弱気ではないが、
素面
(
しらふ
)
なので
温和
(
おとな
)
しく、言われる通りに、リリーにチップを出してやったようだ。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
珍しく
素面
(
しらふ
)
で白梅の帰り、御徒町まで帰ってきていた今松は、俄に師匠にひと談判したくなってクルリと踵を返すと、興奮して入谷のほうへと歩き出した。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
が、いまは白昼、
素面
(
しらふ
)
で風呂をたいていたのが、
釜
(
かま
)
の下から一本抜いて、燃えているやつをはさんで来る。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
直治は、ね、「僕は
素面
(
しらふ
)
で死ぬんです」と私、「僕は素面で死ぬよ……泣かせるない」と、修治さん。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
といっても、もちろんそれは
素面
(
しらふ
)
で、ほかに別段なんの企みも抱いていない時に限るのである。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
中でも
糧秣
(
りょうまつ
)
官吏は、よくも合点がゆかないくせに、誰よりも一番にわめき立て、ルージンにとってしごく面白からぬ処置を提言した。が、そこには
素面
(
しらふ
)
のものも交じっていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それに、
素面
(
しらふ
)
で会うのも、何となく
厭
(
いや
)
な気がした。嘉三郎は
町外
(
まちはず
)
れの居酒屋に
這入
(
はい
)
った。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
だが、芝居でも御覧なさい。花見の場で酔っ払っているような奴は、大抵お腰元なんぞに嫌われる
敵役
(
かたきやく
)
で、白塗りの色男はみんな
素面
(
しらふ
)
ですよ。あなたなんぞも二枚目だから、顔を
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
日焦けのした顔の皮膚がいやに厚ぼったくて、酔ってるのか
素面
(
しらふ
)
なのか見当がつかなかった。昌作はぼんやりその顔を見つめた。と俄に、ぎいーとブレーキが利いて電車が止った。
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
素面
(
しらふ
)
で居る時は、からもう元気の無い人で、言葉もすくなく、病人のやうに見える。五十の上を一つか二つも越したらうか、年の割合には
老
(
ふけ
)
たといふでも無く、まだ髪は黒かつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この道のりが、別の事情もあって、
素面
(
しらふ
)
のときには、仲々つらいのでした。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
酔っぱらっているようでもあり、
素面
(
しらふ
)
のようでもある。顔色は青ざめ、眼はとろんとして、どこを見ているのかわからない。しまりのなくなった唇はたれ下がって、白っぽい舌がはみ出ている。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
今度は麻酔をかけようかと云ったら、やはり承知しないのでまた
素面
(
しらふ
)
で手術を受けてとうとう完全な舌切婆さんになったということであった。その後がどうなったかは聞かなかったような気がする。
追憶の医師達
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
僕は、
素面
(
しらふ
)
で死ぬんです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
素面
(
しらふ
)
ではたまらない。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「
素面
(
しらふ
)
だからな。」
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まア、もう少し過してくれよ、お栄さん。今晩という今晩は命がけでききたいことがあるんだが、お前が
素面
(
しらふ
)
じゃきり出しにくい」
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「だめだ」と男のように云った、「あたしも頂きます、とても
衒
(
て
)
れくさくって
素面
(
しらふ
)
ではいられないわ」
扇野
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この下男の方は酔っぱらっていましてね、尤も、いつだって
素面
(
しらふ
)
でいたことはありませんが。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
一二日の間はほとんど
素面
(
しらふ
)
でいて自分の仕事を少くとも普通にやっていることもあった。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
素面
(
しらふ
)
で船にのれるだけ勇気のあるものは少いそうですから。気がもてんのじゃそうです。隆ちゃんなんかのこと考えるわ。あのひとは今どうでしょうね。もとは飲まず立って行ったけれど。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
平常
素面
(
しらふ
)
で居る時には、謹嚴無比な徳望家である先生たちが、醉中では始末におへない好色家になり、卑猥な本能獸に變つたりする。前の人格者はヂキール博士で、後の人格者はハイドである。
酒に就いて
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ほとんど
素面
(
しらふ
)
で、艫からこの狂態をジッと見詰めている貫兵衛の冷たい顔には不気味なうちにも、妙に自信らしいものがあったのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ところが今はそのペトローヴィッチもどうやら
素面
(
しらふ
)
らしい、したがって人間が
頑
(
かたく
)
なで容易には打ちとけず、はたしてどんな法外な値段を吹っかけるか、知れたものではなかった。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
こんなだいそれた企みを抱えて
素面
(
しらふ
)
でいられるわけがない、そこで酔っては良心を
昏
(
くら
)
ましながら、なるべく景気のいいことばかり考えたり話したり、ひたすら、その日の来るのを待つ
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
樽はみんななくなっていたし、
罎
(
びん
)
の方は実に驚くほど多数が飲み干したり投げ棄てたりしてあった。確かに、謀叛が始まって以来、彼等は一人でもかつて
素面
(
しらふ
)
でいられるはずがなかったのだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
そういう
素面
(
しらふ
)
でいる人間の勇気というものを私は感服するの。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それからの騒ぎが、どんなに悪魔的なものであったか、たった一人
素面
(
しらふ
)
だった、若い芸者のお蔦だけがよく知っております。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おらあ九つの年から飲み始めて、四十年ちかいあいだ酒の気の切れたことのねえ人間だ、
素面
(
しらふ
)
のときは知らねえが、酔ってるときに事のみさかいのつかねえようなためしはありゃあしねえ、嘘だと思うなら赤髯の先生に訊いてみろ」
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それからの騷ぎが、どんなに惡魔的なものであつたか、たつた一人
素面
(
しらふ
)
だつた、若い藝者のお蔦だけがよく知つて居ります。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆んな川に捨てたり、
手拭
(
てぬぐひ
)
にしめしたりしたさうで——これは最初から
素面
(
しらふ
)
だつたお蔦と卯八が見屆けてゐますが。
尤
(
もつと
)
も三吉は
確
(
たし
)
かに呑んださうで
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆んな川に捨てたり、手拭にしめしたりしたそうで——これは最初から
素面
(
しらふ
)
だったお蔦と卯八が見届けていますが。もっとも三吉は確かに呑んだそうで
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「父さんは、それを言ふのが、餘程辛かつたと見えて、私が家を出る前に、酒の用意をして、——
素面
(
しらふ
)
ぢや言ひにくいから、今晩は少し過さしてくれ、——などと言つてゐました」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
實は
素面
(
しらふ
)
も同樣で、裏の窓から拔け出して、新宿へ遊びに行つたといふのだらう——それはもう、良くわかつてゐるよ、お前に聽くまでもない、だが相手の女の名前がわからなくて
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素振
素気
素朴
素足
素姓
素破