せき)” の例文
固より広い庭でない上に立木の数が存外多いので、代助の歩くせきはたんと無かった。代助はその真中に立って、大きな空を仰いだ。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とばりを垂れたる六層の觀棚さじきも、せきあまりに大いにして客常に少ければ、却りて我をして一種の寂寥と沈鬱とを覺えしめき。
「だつて、そのくれゐあためへだア。お前さアばか、勝手な真似して、うらとがめられるせきはねえだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ええうーんあっ、そうだ、わかったわかった、AマイナスBとAプラスBのせきだ!
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まして歴史は白骨のるいせきである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
固より広い庭でないうへ立木たちきかずが存外多いので、代助のあるせきはたんとかつた。代助は其真中まんなかに立つて、おほきなそらを仰いだ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「引力の法則は、だれでも知っていなくてはならない法則だから、ぼくもよくおぼえていますよ。——二ツノ物体ノ間ノ引力ハ、ソノ二ツノ物体ノ質量ノせきニ比例シ、二ツノ物体ノ距離ノ自乗じじょう反比例はんぴれいスル。——これでいいのでしょう」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
道具類だうぐるゐせきばかりつて、金目かねめにならないものは、こと/″\はらつたが、五六ぷく掛物かけものと十二三てん骨董品丈こつとうひんだけは、矢張やは氣長きながしがるひとさがさないとそんだと叔父をぢ意見いけん同意どういして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道具類もせきばかり取って、金目にならないものは、ことごとく売り払ったが、五六幅の掛物と十二三点の骨董品こっとうひんだけは、やはり気長に欲しがる人をさがさないと損だと云う叔父の意見に同意して
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)