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石楠
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しゃくなげ
ふりがな文庫
“
石楠
(
しゃくなげ
)” の例文
風情
(
ふぜい
)
もない
崖裾
(
がけすそ
)
の裏庭が、そこから見通され、
石楠
(
しゃくなげ
)
や松の盆栽を並べた植木
棚
(
だな
)
が見え、
茄子
(
なす
)
や
胡瓜
(
きゅうり
)
、
葱
(
ねぎ
)
のような野菜が作ってあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
木の葉の上に水のまかるる音を聞いて、マブーフ老人の心は狂喜の情でいっぱいになった。今は
石楠
(
しゃくなげ
)
も喜んでいるように彼に思えた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
椈の大木に交って
栂
(
つが
)
や
黒檜
(
ねずこ
)
などが岩崖に生えている。
石楠
(
しゃくなげ
)
が出て来た。附近には野生の杉もある。杉と石楠を一所に見たのは初めてだ。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
白川は気あたりがして、上着のポケットに手を入れてみると、指先にツルリとした
石楠
(
しゃくなげ
)
の葉がさわった。
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「きれいだろう。そら、黄色いやつもある。葉が
石楠
(
しゃくなげ
)
に似とるだろう。
明朝
(
あす
)
浪
(
なみ
)
さんに
活
(
い
)
けてもらおうと思って、折って来たんだ。……どれ、すぐ湯に入って来ようか」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
樅林
(
もみばやし
)
がある、
小松林
(
こまつばやし
)
の背の低いのや
疎
(
まば
)
らなのがある、焼け残りの老木の幹がある、
石楠
(
しゃくなげ
)
があるといったような、
凡
(
およ
)
そ愚にもつかぬ有象無象の描写にかからなければならないのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
御嶽
(
おんたけ
)
の雪の
肌
(
はだ
)
清らかに、
石楠
(
しゃくなげ
)
の花の顔
気高
(
けだか
)
く生れ
付
(
つい
)
てもお辰を嫁にせんという者、七蔵と云う名を
聞
(
きい
)
ては山抜け
雪流
(
なだれ
)
より恐ろしくおぞ毛ふるって思い
止
(
とま
)
れば、
二十
(
はたち
)
を
越
(
こ
)
して痛ましや
生娘
(
きむすめ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
信濃
(
しなの
)
の山の上に咲く
石楠
(
しゃくなげ
)
の花の純粋にもたとえたいような、その美しい性質は、おのずから多くの人の敬慕するところとなり、世にもまれに見る家庭をつくり、夫
房全
(
ぼうぜん
)
氏との間に四人の愛児をもうけ
力餅
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尾根は
石楠
(
しゃくなげ
)
其他の灌木に栂や
唐檜
(
とうひ
)
の若木が交って邪魔をする。時々振り返って後を見ると、南アルプスの雪が木の間に白くきらりと光る。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
書物を読みながら、また手の書物越しに、マブーフ老人は自分の植物をながめ、なかんずく彼の慰安の一つだったりっぱな一本の
石楠
(
しゃくなげ
)
に目を止めた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
白川は道のうえに枝をのばしている
石楠
(
しゃくなげ
)
の葉をむしりとって、手のなかで弄びながら、クヨクヨと考えつめていたが、荒神の滝をすぎて、截りたつような岩の上に奥ノ院の輪郭が見えだしてくると
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
笹が少なくなって
石楠
(
しゃくなげ
)
や
御前橘
(
ごぜんたちばな
)
、
岩鏡
(
いわかがみ
)
、
苔桃
(
こけもも
)
などが下草に交って現れる。左に近く
笈吊
(
おいつる
)
岩の絶壁を仰ぐようになると直ぐ峠の頂上である。十日程前には紅葉が盛りであったという。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そう言いながら彼は、身をかがめて
石楠
(
しゃくなげ
)
の枝を直し、なお続けて言った。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
五月には未だ北裏に可なりの残雪があるので、
石楠
(
しゃくなげ
)
は葉を縮めて寒そうである。大蝦蟇が住んでいるので雨乞いすると
屹度
(
きっと
)
降るといわれている池なども笹と共に雪に埋もれている。
三国山と苗場山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
又三十分も登ると古生層らしい岩崖が一丈二、三尺の瀑を懸けている。此瀑を通過してから左の尾根に取り付いて、
石楠
(
しゃくなげ
)
を押し分けながら三十分も登れば国境山脈の切明に出られる。
笛吹川の上流(東沢と西沢)
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然
(
しか
)
るにそこは既に風雪の激しい山頂若しくは夫に近い所であるから、
椈
(
ぶな
)
や
楢
(
なら
)
や
七竈
(
ななかまど
)
までが
令法
(
りょうぶ
)
や万作などと同じように灌木状をなして曲りくねっている中へ、
米躑躅
(
こめつつじ
)
や
石楠
(
しゃくなげ
)
などが割り込み
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
米栂
(
こめつが
)
などの針葉樹が混って来ると、岩ウチワの薄桃色の上品な花が見られるようになる。
曙躑躅
(
あけぼのつつじ
)
や
石楠
(
しゃくなげ
)
の
色鮮
(
いろあざやか
)
な紅花が
綾
(
あや
)
に咲き乱れているのもこのあたりである。谷の空では
時鳥
(
ほととぎす
)
が頻りに鳴く。
渓三題
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
米栂
(
こめつが
)
、黒檜、白檜などが多少の偃松も交って、
石楠
(
しゃくなげ
)
、
岳樺
(
だけかんば
)
などの闊葉樹と共に、矮い灌木状をなして巨岩の上に密生しているさまは、
磊砢
(
らいら
)
たる
嶄巌
(
ざんがん
)
を錯峙させている南側よりも寧ろ私は好きである。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
唯
(
ただ
)
岩崖に咲く
日蔭躑躅
(
ひかげつつじ
)
の上品な黄花がほのかに明るい色を浮べ、
小岩桜
(
こいわざくら
)
の紅花が時に眼を楽しませる外に、盛り上るように花をつけた
石楠
(
しゃくなげ
)
や躑躅の大群落が思わず足をとめて眼を見張らせるであろう。
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
此山から雲取山までは二時間あれば楽々と行かれる。
此処
(
ここ
)
を下って西南の小峰を指して登ると、山相が一変して岩が多く、従って尾根が狭く急となり、
石楠
(
しゃくなげ
)
や
馬酔木
(
あせび
)
の曲りくねった枝が行手を遮ぎる。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
楠
漢検準1級
部首:⽊
13画
“石楠”で始まる語句
石楠花
石楠木
石楠船