真二まっぷた)” の例文
旧字:眞二
真田幸村さなだゆきむらに対しても、決して粗略には存じません。萌黄色もえぎいろの海のような、音に聞いた淀川が、大阪を真二まっぷたつに分けたように悠揚ゆっくり流れる。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これから貴公が往って勧めて早稲田まで行くと夜遅くなり、お茶の水辺りへ来ると、九ツになる、其処そこへ私が待合まちあわせて真二まっぷたつにするという趣向はどうだ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「我が日の本の魂が、り固まったる三尺の秋水しゅうすい。天下法度はっと切支丹きりしたんの邪法、いで真二まっぷたつに……」
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それ以上、さえぎれば、手にしていた佩刀はかせが、何者をも真二まっぷたつにしかねない血相なのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに鉄棒くうに躍ってこうべを目懸けてえい! と下す。さしったりと身を交せば、ねらはずれて発奮はずみを打ち路傍の岩を真二まっぷたつ。石鉄戛然かつぜん火花を散らしぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大概の者なれば真二まっぷたつにもなるべき所なれども、流石さすがは飯島平左衞門の仕込で真影流に達した腕前、ことに用意をした事ゆえ、それと見るより孝助は一あし退しりぞきしが、抜合ぬきあわす間もなき事ゆえ
縮らした前髪を眉の上でり揃えたあとを左右に真二まっぷたつに分けて、白い襟首の上にグルグル捲きを作って、大きな、色のいい翡翠ひすいのピンで止めたアンバイは支那婦人ソックリの感じであった。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お座敷がえりに、我家うちかどから、やっこに持たして出たんですがね。途中でおどかしたもんだから、押放出おっぽりだしてげたんですもの。ヒヤリとしたわよ、真二まっぷたつ。身上大痛事おおいたごと
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
額の骨が真二まっぷたツに、パッと割れたと思ううち
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「切られる分には、まだ、不具かたわです。薙倒されては真二まっぷたつです、危い、危い。」
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このたびのは、一昨日おとといの朝からかかった仕事で、ハヤそのなかばを挽いた。たけけんはん小口こぐちじゃくまわり四角なくすのき真二まっぷたつに割ろうとするので、与吉は十七の小腕こうでだけれども、このわざにはけて居た。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いざと云う時、貴女を棄てて逐電ちくてんでもすりゃ不実でしょう。胴を据えて、覚悟をめて、あくまで島山さんが疑って、重ねて四ツにするんなら、先へ真二まっぷたツになろうと云うのに、何が不実です。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)