發句ほつく)” の例文
新字:発句
A 仕樣しやうがないなア。ぢや説明せつめいしてやる。よく寄席よせ落語家らくごかがやるぢやないか。横丁よこちやう隱居いんきよくまさん八さんに發句ほつくをしへるはなしだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
こんなうるさいはいでも、道連みちづれとなればなつかしくおもはれたかして、木曾きそはいのことを發句ほつくんだむかし旅人たびゞともありましたつけ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
寶井其角が『三圍みめぐり』の發句ほつくを詠んで、夕立を降らせたといふ傳説が、眞面目に信ぜられた時代の人達の心持は、今の人には想像もつかぬものがあつた筈です。
細君は「本當に増田さんは發句ほつくに御熱心ですことね」とばつを合はす。「熱心な癖に下手さ。ハヽヽヽ」と言つて、五十嵐は強ひて景氣をつけるやうな笑ひ方をする。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
するとくまさんが、『發句ほつくツてそんなもんですかい、ぢやわけアねえ』とふので、『たまのでんぐりかへるあしたかな』とやりだす。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
前達まへたち芭蕉翁ばせをおういたことがりませう。あの芭蕉翁ばせをおう木曾きそんだ發句ほつくいしりつけてあります。そのふる石碑せきひ馬籠まごめむらはづれにてゝあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「増田屋金兵衞、二た抱へはたつぷりあらうといふ名物月見の松の下に縁臺をゑさせ、松の葉蔭から、ユラ/\と昇る月を眺め乍ら、チビチビと呑んだり、鹽豆を噛つたり、下手な發句ほつくを考へたり」
落語家らくごか見識けんしきからすると、『新玉あらたまの』は本統ほんたう發句ほつくだが、『たまの』は無茶むちやだとして、それで聽衆ちやうしうわらはせようとするんだが、おれところこれことなりだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
まあ、このやまなか土産話みやげばなしに、そこにあるふるいしでもよくつてください。これから東京とうきやうへおいでになりましたら、そのいし發句ほつくが一つつてあつたとおはなください。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)