番屋ばんや)” の例文
「二、三丁先は新花町しんはなちょう番屋ばんやがある。お前さんは物盗りならお金をあげるから、この手を放しておくれ、痛いッ、放しておくれッてば」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おとつさんは刎橋はねばし番屋ばんやるよとならはずして其道そのみちのかしこさ、梯子はしごのりのまねびにアレしのびがへしをおりりましたとうつたへのつべこべ、三びやくといふ代言だいげんもあるべし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
上意とこゑかけたちまち召捕れしかば彦兵衞ハツと驚きしが偖は買付たる小間物は盜物ぬすみものなりしかと思ひ馬喰町の番屋ばんやへ上られ早々橋本町へ申遣しければ家主いへぬしはじめ長屋の者共駈付彼是の世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大塩おおしお洗心洞せんしんどう出身で、いわば、あいよりでて藍よりも濃い男、その上にまだ勉強する気で、こっそりと東都に居をかまえ、お膝下ひざもとの奉行所の組織、番屋ばんや川筋見張かわすじみはり等の配置から
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自身番じしんばんへ知らせてやら早々さう/\人や出來らん其時一しよに見ながら通らん是は如何にといひければ如何にも夫は面白おもしろしと二人はすぐ番屋ばんやに至り大聲揚て告けるは御町内に人殺あり早くいつて見らるべしとの知らせに自身番の宿直とまりの人は大いに驚き定番ぢやうばんの者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
出し公儀にても御詮議ごせんぎありし處更に請取うけとる人の出ることもなく一年ほどて後番人九助儀町役人共差添さしそへ町奉行所へまかり出べき旨差紙さしがみに付家主五人ぐみ名主同道にてまかり出けるは舊冬きうたう九助がひろひし金八十兩のこらず下し置れしにより九助始め町役人一同有難く頂戴ちやうだいして歸りことに九助はゆめかとばかり打悦うちよろこび居たりし處其夜子刻ねのこく頃廿四五の男番屋ばんや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)