トップ
>
洞
>
うつ
ふりがな文庫
“
洞
(
うつ
)” の例文
行灯
(
あんどん
)
は
丁字
(
ちょうじ
)
が溜まって、ジ、ジと瞬きますが、三人の大の男は瞬きも忘れて、互の顔を、二本の徳利を、
洞
(
うつ
)
ろな眼で見廻すのです。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……ハートをダイヤだと言い、勘定を間違え、札を取り落し、はては物に
怯
(
おび
)
えたような
洞
(
うつ
)
ろな笑い声を立てて、皆の顔を見廻す。
グーセフ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
散らし髪同然に、
鬢髪
(
びんぱつ
)
は乱れ、目は
洞
(
うつ
)
ろに、顔は歪み、着物の前はすっかりはだかって、何ともかとも言いあらわしようの無い
体
(
てい
)
たらくなのだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と、行宮から北の方の大きな神木の
洞
(
うつ
)
ろをのぞいてみた。外部の宮方との連絡にはいつもここを使っていたからである。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
合戦の
勢
(
いきおい
)
がまた
盛返
(
もりかえ
)
したとの注進も
洞
(
うつ
)
ろ心に聞きながし、わたくしは
薙刀
(
なぎなた
)
を
杖
(
つえ
)
に北の
御階
(
みはし
)
にどうと腰を
据
(
す
)
えたなり、夕刻まではそのまま動けずにおりました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
「そうか、そんな事情があったのか。僕は少しも知らなかった。」山本はこう云ったが、それはまるで作りつけの人形が、機械で物を云っているような、きわめて
洞
(
うつ
)
ろな調子であった。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
私は、その
洞
(
うつ
)
ろな
耳腔
(
みみ
)
に
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
囁
(
ささや
)
くことで驢馬の記憶を呼び
醒
(
さま
)
そうとした。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
行燈
(
あんどん
)
は
丁子
(
ちやうじ
)
が溜つて、ジ、ジと
瞬
(
またゝ
)
きますが、三人の大の男は瞬きも忘れて、互ひの顏を、二本の徳利を、
洞
(
うつ
)
ろな眼で見廻すのです。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると胸の奥の方で、自分はつまらぬ、平凡な、やくざな、取るに足らぬ女だ、と
幽
(
かす
)
かに
洞
(
うつ
)
ろな声で囁くものがある。……
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
合戦の
勢
(
いきおい
)
がまた
盛返
(
もりかえ
)
したとの注進も
洞
(
うつ
)
ろ心に聞きながし、わたくしは
薙刀
(
なぎなた
)
を
杖
(
つえ
)
に北の
御階
(
みはし
)
にどうと腰を
据
(
す
)
ゑたなり、夕刻まではそのまま動けずにをりました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
腹を抱えて笑い出すと、その
洞
(
うつ
)
ろな笑いが、水を渡り闇を縫って、ケラケラケラと川面一パイに拡がって行きました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして彼等は聴くであらう、同時に近くから遠くから
涌
(
わ
)
き起る
洞
(
うつ
)
ろな鐘のひびきを、続いて無数の黄ばんだ祈りの声を。のみならず、たとへば私なら、もつと先を想像することが出来る。
水に沈むロメオとユリヤ
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
腹を抱へて笑ひ出すと、その
洞
(
うつ
)
ろな笑ひが、水を渡り闇を縫つて、ケラケラケラと川面一パイに
擴
(
ひろ
)
がつて行きました。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夥
(
おびたゞ
)
しい出血に顏の色は
蝋
(
らふ
)
の如く白くなつて居りますが、眼鼻立ちの端正さは名人の
彫
(
きざ
)
んだ人形のやうで、
洞
(
うつ
)
ろに開いた眼には、恐怖の影さへもなく
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この臺は思ひの外重いんですがね。宜い鹽梅に側にあつた
梃
(
てこ
)
を使つてあげて見ると、中は
洞
(
うつ
)
ろになつて、この三品をねぢ込んでゐるぢやありませんか」
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな笑ひと、譯の解らぬ絶叫と、滅茶々々にもつれ合ふ中を、七人の男女が狂態の限りを盡すのでした。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな笑いが、巨大な機械の外に何んにもない研究室の四壁に
木精
(
こだま
)
して、千種十次郎をゾッとさせました。
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
振り返る二十二三の若い男、緊張した青い顏が、間伸びがして少し長く、
愚鈍
(
ぐどん
)
さうな
洞
(
うつ
)
ろな眼、一應若旦那型の良い男——とは踏めますが、あまり嬉しくない人物です。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒い覆面から漏れたのは、鉛色の濁った皮膚、
洞
(
うつ
)
ろな眼の穴——多分それは
彦徳
(
ひょっとこ
)
の仮面でしょう。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒い覆面から漏れたのは、鉛色の
濁
(
にご
)
つた
皮膚
(
ひふ
)
、
洞
(
うつ
)
ろな眼の穴——多分それは
彦徳
(
ひよつとこ
)
の假面でせう。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
振り返ると二十二三の若い男、緊張した青い顔が、間伸びがして少し長く、
愚鈍
(
ぐどん
)
そうな
洞
(
うつ
)
ろな眼、いちおう若旦那型の好い男——とは踏めますが、あまり嬉しくない人物です。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
傅次郎を殺した刄物は——井戸の中か、縁の下の土の中か、いや、いや、いつぞや材木屋で、銘木の
洞
(
うつ
)
ろの中に物を隱して置いた
例
(
ため
)
しがある。こゝにもそんな隱し場所は澤山ある筈だ
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
苦い笑が、郷太郎の頬を痙攣さして、
洞
(
うつ
)
ろな声が、夜の林にカラカラと
木精
(
こだま
)
します。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
相好
(
そうごう
)
は変っていますが、紛れもない浪人梶四郎兵衛、娘のお勇と同じように、胸に両刃の剣を突っ立てられて、怨み多い
洞
(
うつ
)
ろな眼に、
格天井
(
ごうてんじょう
)
の下手な
丸龍
(
まるりゅう
)
の絵を睨んでいるではありませんか。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな眼を開いて、わなゝく唇が少し動くと、宙に物の影を追ふやうに
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな眼を開いて、わななく唇が少し動くと、宙に物の影を追うように
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな声、眼はギラギラと瀬戸物のように光ります。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは陰惨で
洞
(
うつ
)
ろで、虚脱したような笑いでした。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と宇古木兵馬の聲が
洞
(
うつ
)
ろに響きます。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな笑ひがケラケラと響きます。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな笑いがケラケラと響きます。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
(
うつ
)
ろな、淋しい声です。
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
洞
常用漢字
中学
部首:⽔
9画
“洞”を含む語句
空洞
洞窟
洞察
洞穴
大洞
洞然
洞簫
洞中
曹洞宗
仙洞御所
洞声
洞道
洞院
西洞院
洞察力
洞庭
洞門
洞庭湖
東洞院
琅玕洞
...