江戸表えどおもて)” の例文
西町奉行にしまちぶぎやう荒尾但馬守あらをたじまのかみが、江戸表えどおもてから着任ちやくにんするといふので、三十與力よりきは、非番ひばん同心どうしんれて、先例せんれいとほ守口もりぐちまで出迎でむかへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
こゝに享保年間下總國しもふさのくに古河こがの城下に穀物屋吉右衞門こくものやきちゑもん云者いふものあり所にならびなき豪家がうかにて江戸表えどおもてにも出店でみせ十三げんありて何れも地面ぢめん土藏共どざうども十三ヶ所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おほせまでもさふらはず、江戸表えどおもてにて將軍しやうぐん御手飼おてがひ鳥籠とりかごたりとも此上このうへなんとかつかまつらむ、日本一につぽんいちにてさふらふ。」と餘念よねんていなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この土地とちわづらひをしたのは、其方そち見立みたきがないと、江戸表えどおもてとほらないことは、かねがねいてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
掛んも計難はかりがたし然ば一先とほ江戸表えどおもておもむきて事をはからふに如ずと思案し杢右衞門もくゑもんに向申けるは我種々いろ/\思案しあんせしが當時大阪よりは江戸表えどおもてかた繁昌はんじやうにて諸事便利べんりなれば一先江戸をめぐりて商賣しやうばい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おびやかし味方に付る時は江戸表えどおもて名乘なのりいづるに必ず便利べんりなるべしと不敵にも思案を定め彼奧座敷に至り燭臺しよくだいあかりをともしとねの上に欣然きんぜんと座を胴卷どうまきの金子はわきの臺に差置さしおき所持の二品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)