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えどおもて
「おほせまでも
候はず、
江戸表にて
將軍御手飼の
鳥籠たりとも
此上に
何とか
仕らむ、
日本一にて
候。」と
餘念も
無き
體なり。
この
土地で
病み
患ひをしたのは、
其方の
見立て
書きがないと、
江戸表へ
通らないことは、かねがね
聞いてゐた。
掛んも
計難し然ば一先
遠く
江戸表へ
赴きて事を
計ふに如ずと思案し
杢右衞門に向申けるは我
種々と
思案せしが當時大阪よりは
江戸表の
方繁昌にて諸事
便利なれば一先江戸を
廻りて
商賣を
刧やかし味方に付る時は
江戸表へ
名乘出るに必ず
便利なるべしと不敵にも思案を定め彼奧座敷に至り
燭臺に
灯りを
點し
茵の上に
欣然と座を
占め
胴卷の金子は
脇の臺に
差置き所持の二品を