けえ)” の例文
新字:
なんてのたくり/\けえつてんだ、さうすつとまた駄目だめりやつてう、すぐうつてふんだぞなんておこつたてえになあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『早くけえつて寢るこつた。恁麽こんな時何處ウ徘徊うろつくだべえ。天理樣拜んで赤痢神が取附とつつかねえだら、ハア、何で醫者藥がるものかよ。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
今路地の外までけえつて來ると、變な野郎がウワウロして居るから、樣子を見てゐるうちに、お靜の話を聞いてしまつたよ、——八丁堀の旦那が、心祝ひに酒を下すつたなんて、そいつは大嘘おほうそだ。
おれが町内あづけになつて、無事にけえつて來た顏をみると、手前は又むやみに喜んで、子供のやうに手放しで泣きやあがつた。さうして、大岡樣はありがたいと手をあはせて拜んだぢやあねえか。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
くしなんざつてゐねえぞはあ、それよりやあ、けえつてかきのざくまたでもはうがえゝと」朋輩ほうばい一人ひとりがおつぎへいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
家へ入ると、通し庭の壁際に据ゑた小形の竈の前に小くしやがんで、干菜でも煮るらしく、鍋の下を焚いてゐた母親が、『けえつたか。おなかつたべアな?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「すぐけえつて來るよ——味噌汁のさめねえうちに」
ゆうべもたうとうけえらねえ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「どうれ、けえつて牛蒡ごぼうでもこせえべえ、明日あした天秤棒てんびんぼうかついで支障さはりにならあ」剽輕へうきん相手あひておもしたやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何程なんぼでも可えだ。明日アけえだで、行ぐどきア空馬車つぱつて行ぐのだもの。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)