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正躰
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しやうたい
お
倉お
倉と
呼んで
附添ひの
女子と
共に
郡内の
蒲團の
上へ
抱き
上げて
臥さするにはや
正躰も
無く
夢に
入るやうなり、
兄といへるは
靜に
膝行寄りてさしのぞくに
其の
夜更けから、しばらく
正躰を
失つたが、
時も
知らず
我に
返ると、
忽ち
第三番目を
作りはじめた、……
時に
祠の
前の
鳥居は
倒れて、
朽ちたる
縄は、ほろ/\と
断れて
跡もなく
成る。……
怪しき
書風に
正躰得しれぬ
文字を
書ちらして、これが
雪子の
手跡かと
情なきやうなる
中に、
鮮かに
讀まれたる
村といふ
字、
郎といふ
字、あゝ
植村録郎、
植村録郎