正成まさしげ)” の例文
そこで気が付いたのが筆談だ。紙と鉛筆を取り寄せ、正成まさしげ公から思いついて「くすのき」の字を大書し、箱を叩いて首をかしげて見せた。
彼はしばしば京師に献言せり、彼は萩藩府に勧告せり、彼は孝明天皇に向って後醍醐ごだいごたらんことを希い、藩主に向って義貞よしさだ正成まさしげたらんことを望めり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「先祖正成まさしげより伝わりました、弓道の奥義書『養由基ようゆうき』九州あたりへ参りましたら、伝える者はよもあるまい、都にて名ある武士に伝え、伝え終らば九州へと……」
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
太閤様たいこうさま正成まさしげとどっちが偉いとか、ワシントンとナポレオンとどっちが強いとか、常陸山ひたちやまと弁慶と相撲すもうを取ったらどっちが勝つとか、中には返答に困らないのもあるが
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
手を相場に下して一攫千金いつくわくせんきんの利を得るも、志士仁人が不幸数奇なることあるも、悪人栄えて善人ほろぶることあるも、尊氏たかうぢ征夷せいい大将軍となるも、正成まさしげ湊川みなとがはに戦死するも
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
「ああ正成まさしげよ正成よ……。」と口から出るがままに大声でわめいて、この村に響き渡れ! 彼の兄と嫁との耳に鳴り響いて鼓膜を破ってやれ! という意気込みで怒鳴り付けた。
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
楠木正成まさしげが、勅命に依つて蹶起し、河内かはち赤坂城あかさかじやうに菊水の旗を飜したのは、この時である。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
後醍醐ごだいご天皇が笠置山かさぎやま行幸みゆき遊ばされて、官軍を召しつのられた折には、柳生一族からも、中之坊という勤皇僧が出て、笠置衆徒に列し、正成まさしげ帷幕いばくに参じ、建武の復古によく働いた。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楠公なんこうにもこんな話しがある」と甲斐はゆっくりと続けた、「兵庫の湊川みなとがわで、足利あしかが勢と決戦するまえに、正成まさしげはやはり禅僧それがしを訪ねて、生死関頭を訊いた、禅僧それがしは、 ...
上り込むと、これが狭い廊下を一つ置いた隣座敷へ陣取って、危いわ、と女の声。どたんとふすまつかる音。どしん、と寝転ぶ音。——くすのき正成まさしげがーと梅ヶ手水鉢ちょうずばちで唄い出す。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
千早城ちはやじょう正成まさしげになるつもりだなどと書かれているだけであった。僕はすぐに返事を書き、正成に菊水の旗を送りたいが、しかし、君には、菊水の旗よりも、菊川の旗がお気にすように思われる。
未帰還の友に (新字新仮名) / 太宰治(著)
首尾よく欺むき文藏方にて金千百八十兩ぬすみ取しかば仁左衞門は三吉小猿こざるに向ひ斯樣かやうに仕合よくゆき智嚢ちなう古の諸葛孔明しよかつこうめい我朝の楠正成まさしげも及ぶまじとは云ふものゝ是まで夜盜よたう追剥おひはぎ人殺し等の數擧て算へ難し此上盜賊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「——では、次なる芸当差し替えてご覧に入れまする。楠公なんこう父子は桜井の子別れ。右なる雄ぐまは正成まさしげ公。左の雌ぐまは小楠公。そら、あのとおり、ここもとしばらくの間は、忠臣孝子別れの涙にむせぶの体とござい」
回天の秘策を御胸おんむねに持たれ、正成まさしげのこもる赤坂城へ、数日前にお入りあそばされたのであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「幕府より何程逆燄ぎゃくえんを奪い悖逆はいぎゃくの処置ありとも、御頓着とんちゃくなく後鳥羽ごとば後醍醐ごだいご両天皇を目的として、御覚悟定められば、正成まさしげ義貞よしさだ高徳たかのり武重たけしげの如き者累々継出つぎいでんは必然なり」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
みると、この三日間、共に行幸みゆきの供奉をしていた河内守正成まさしげだった。
隅田、高橋の両武将が、もろくも正成まさしげのために渡辺の橋で破られ、関東の武威ぶい失墜しっついするや
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
正成まさしげ(楠木)は、なぜ見えぬか。来るべきはずの正成は?」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成まさしげの舎弟正季まさすえと、一族の和田正遠とが、隠し伏せて置いた勢であった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
正成まさしげはまだ死んではいない」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成まさしげが赤坂へ城を築いて、北条氏討伐の兵を挙げた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
正成まさしげ出仕しゅっし
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成まさしげは思った。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)