けん)” の例文
旧字:
リンゴの果実は、これをたてに割ったり横に切ったりして見れば、よくその内部の様子がわかるから、そうしてけんして見るがよい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
いま十五少年諸君の行動をけんするに、なんしょしてくっせず、事にのぞんであわてず、われわれおとなといえども及びがたきものがすこぶる多い。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かくけんして来ますと、我々が今迄犯人と信じ切っていた大江春泥こと平田一郎は、意外にも、最初からこの事件に存在しなかったと考える外はありません。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ですからご管下の牢営にいる済州さいしゅう流人るにんでしょう。すぐ牢営の蔵帳官に、簿けんせよと、お命じなされませ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時次郎はとっくけんし、「うむ、心臓むね小刀ナイフが。……」言懸けて照子をれば、まなじり釣って顔色あおく、唇はわななけり。召したる薄色の羽織の片袖血潵ちしぶきを浴びてくれないしずく滴る。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その証拠には、明治の文壇に起つた議論とか、思潮とかをけんして見ると、それは大抵は西洋から翻案し来つたもので、それに就いて徒らに空論を上下して居るやうなものが多い。
明治文学の概観 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
この親鸞の特徴に対して自分は「真理のための真理探求」を叫ぶ道元をけんしてみる。彼はいかなる意味において慈悲を説くか。彼はいかなる意味において悪を許し、あるいは恐れるか。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
葉をけんして見ると、バナナの方が葉質ようしつがじょうぶで葉裏が白粉はくふんびたように白色はくしょくていしており、そして花穂かすいほう暗赤色あんせきしょくであるから、わがバショウの葉の裏面りめんが緑色で
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
談話だんわ次手ついでに松川が塾の荒涼たるをかこちしより、予は前日藪をけんせし一切いつさいを物語らむと、「実は……」とわづか言懸いひかけける、まさに其時、啾々しう/\たる女の泣声なきごえ、針の穴をも通らむず糸より細く聞えにき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)