トップ
>
杯洗
>
はいせん
ふりがな文庫
“
杯洗
(
はいせん
)” の例文
それは久米の発見によれば、
麦酒
(
ビイル
)
罎の向うに置いてある
杯洗
(
はいせん
)
や何かの反射だつた。しかし僕は
何
(
なん
)
となしに
凶
(
きよう
)
を感ぜずにはゐられなかつた。
凶
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
撫子、
銚子
(
ちょうし
)
、
杯洗
(
はいせん
)
を盆にして出で、床なる白菊を
偶
(
ふ
)
と見て、
空瓶
(
あきびん
)
の常夏に、膝をつき、ときの間にしぼみしを
悲
(
かなし
)
む
状
(
さま
)
にて、ソと息を掛く。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭から爪先まで少しも厭味のないその女は、痩せた淋しい顔をして、なにかとこまこました話をしながら、鍋に
脂肪
(
あぶら
)
を
布
(
し
)
いたり、
杯洗
(
はいせん
)
でコップを手際よく
滌
(
すす
)
いだりした。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、杯を持って、
舷
(
ふなべり
)
から手をのばし、大川の水を
杯洗
(
はいせん
)
にしてさっと
雫
(
しずく
)
を振って婆へ
酌
(
さ
)
した。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髪は
文金
(
ぶんきん
)
帷子
(
かたびら
)
は
御納戸地
(
おなんどぢ
)
に
大名縞
(
だいみょうじま
)
といふ
拵
(
こしらえ
)
、
好
(
よ
)
く
稼
(
かせ
)
ぐとは
偽
(
うそ
)
か
真
(
まこと
)
か、
肉置
(
ししおき
)
善き体ながらどちらかといへば
面長
(
おもなが
)
の方なるに、
杯洗
(
はいせん
)
の上に
俯
(
うつむ
)
いてどつちが円いかしらなどとはどういふ心か
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
ちんからりんと
杯洗
(
はいせん
)
に触れて沈むよな虫が
啼
(
な
)
く。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
五人一座の二人までは敷かせる
座蒲団
(
ざぶとん
)
の模様が違って、違った
小紋
(
こもん
)
も、唐草も、いずれ
勧工場
(
かんこうば
)
ものにあらざるなく、
杯洗
(
はいせん
)
と
海苔
(
のり
)
とお
銚子
(
ちょうし
)
が乗って出るのも
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
杯洗
(
はいせん
)
でじゃ、杯洗でじゃ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
杯洗
(
はいせん
)
へ、それなり流れようとした処へ、(何の話?……)と、おくれて来た妹が、いきなり
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
立身上
(
たちみあが
)
りに、
盞
(
さかずき
)
を取って投げると、
杯洗
(
はいせん
)
の
縁
(
ふち
)
にカチリと砕けて、
颯
(
さっ
)
と
欠
(
かけ
)
らが
四辺
(
あたり
)
に散った。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ですけれども、
最
(
も
)
うその時、あの
妓
(
ひと
)
の
呼吸
(
いき
)
は絶えていたのです——あの日は、小雪さんは、大変にお酒を飲んでいたんですってね、茶碗で飲んで、
杯洗
(
はいせん
)
まであけたんだそうですね。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
杯洗
(
はいせん
)
、
鉢肴
(
はちさかな
)
などを、ちょこちょこ運んで、小ぢんまりと綺麗に並べる
中
(
うち
)
も、姉さんは、ただ火鉢をちっとずらしたばかり、
悄
(
しお
)
れて
俯向
(
うつむ
)
いて、ならば直ぐに、
頭
(
つむり
)
が打つのを
圧
(
おさ
)
えたそうに
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
銚子
(
ちょうし
)
つけさせまして、
杯洗
(
はいせん
)
の水を切るのが
最初
(
はじまり
)
。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“杯洗”の意味
《名詞》
酒席で杯をやり取りする際に杯を洗うための容器。
(出典:Wiktionary)
杯
常用漢字
中学
部首:⽊
8画
洗
常用漢字
小6
部首:⽔
9画
“杯”で始まる語句
杯
杯盤
杯盤狼藉
杯事
杯口
杯形
杯中
杯泉
杯流
杯状