本気ほんき)” の例文
旧字:本氣
つづいて、ピシッ、馭者ぎょしゃがむちをあてるとうま本気ほんきになってはししました。そとていると、だんだんえきからとおざかりました。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし僕等は本気ほんきになって互に反駁はんばくを加え合っていた。ただ僕等の友だちの一人、——Kと云う医科の生徒だけはいつも僕等を冷評れいひょうしていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
本気ほんき沙汰さたではない、にあるまじき呵責かしやく苦痛くつうけてる、女房にようばう音信おとづれいて、くわつつてちがつたんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昨日きのうきみ逆上のぼせられたのちわたしはハバトフとながいこと、きみのことを相談そうだんしましたがね、いやきみもこんどは本気ほんきになって、病気びょうき療治りょうじたまわんといかんです。わたし友人ゆうじんとしてなに打明うちあけます。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
カラスが本気ほんきでそう言っていることはたしかです。こうなったからには、カラスの言うとおりにするほかはありません。そこで、ニールスは、おとなしくすわって、じっとカラスたちを見つめました。
もし、このうえ、わたしどもが貧乏びんぼうしなければならぬようなら、おまえを角兵衛獅子かくべえじしにでもくれなければならぬと、半分はんぶん本気ほんきで、半分はんぶんはおどかしのつもりだろうが、いったものだ。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、また、いつもおじいさんがうたうようなふしうたをうたったものがあります。おじいさんは、ひとのまねをするやつは、なにものだろうと、こんどは、本気ほんきになって、あたりをまわしました。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)