月花つきはな)” の例文
女子をなごいのち只一たゞひとつの戀、あらゆる此世の望み、樂み、さてはいうにやさしき月花つきはなの哀れ、何れ戀ならぬはなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ればかりはと子細しさいもなく、千扁一律せんべんいちりついやいやをとほして、はては世上せじやういまはしきうたはれながら、せま乙名をとめにもかけず、けゆくとししみもせず、しづかに月花つきはなをたのしんで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その間には月花つきはな定座じょうざ打越うちこし去嫌さりきらい等の規定ありて、代々の連歌師皆力をここに用ゐたりといへども、我説かんとする所に要なければ言はず、ここにはただ連歌の発句を論ずるを以て足れりとす。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あは手向てむけはなに千ねんのちぎり萬年まんねんじやうをつくして、れにみさをはひとりずみ、あたら美形びけい月花つきはなにそむけて、何時いつぞともらずがほに、るや珠數じゆずかれては御佛みほとけ輪廻りんゑにまよひぬべし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一、月花つきはなの定座なる者あり。そは月と花とを詠みこまざるべからざる句をいふ。即ち月の定座は表の第五句、裏の第七句、名残の表の第十一句とし、花の定座は裏の第十一句、名残の裏の第五句とす。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
扨ても春の夜の月花つきはなに換へて何の哀れぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
うめ花貝はながひでもひろはせてたまはれとのねがひ、不憫ふびん如何樣どのやう子細しさいあればとて、月花つきはなをかしきさかりのとしに、千人せんにん萬人まんにんすぐれし美色びしよくを、かヾみきからぬかのやううへ他人ひとごとにしてうれしとはかれぬを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)